我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1.1世代/Season-1.2” 〈759JKI07〉

Clifford Brown『Memorial Album』

ところで最初の1年から2年間は、つまり高校生の間はそれほどの金額をレコードの購入には充てられず、月に1~2枚のLPを買うのが精一杯であったので、高校の卒業時になっても40枚に足りない程度のジャズコレクションだったと思う。

まだまだ体系的な収集段階には入っておらず、場当たり的に気に入ったレコードを手に入れていた様だが、既にトランペッターが好きな傾向は出ていたとみえて、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)を筆頭にドナルド・バード(Donald Byrd)、リー・モーガン(Lee Morgan)やフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)などがお気に入りのミュージシャンであり、其々1~2枚以上のLPを購入していた。ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)やアート・ファーマー(Art Farmer)などのレコードも既に手に入れていたと思う。

Claude Williamson『Round Midnight』

ピアニストのリーダーアルバムも好みの対象であり、ウイントン・ケリー(Wynton Kelly)やソニー・クラーク(Sonny Clark)、レッド・ガーランド(Red Garland)、トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)にホレス・シルバー(Horace Silver)などのリーダーアルバムはこの頃から購入の対象となっていたが、あまりにも欲しいレコードが多いので、そう簡単にはコレクションの拡充は進まなかった。

初めは、総じて金管が入ったアルバムを気に入っていたが、間もなくご多聞に漏れずスインギーなピアノトリオにもハマっていく。そしてこの頃に買ったピアノトリオものでは、クロード・ウイリアムソン(Claude Williamson)の『ラウンド・ミッドナイト(Round Midnight)』とハンプトン・ホース(HamptonHawes)の『トリオ 第1集(Trio Vol.1)』が思い出深い。1974年録音のケニー・ドリュー(Kenny Drew)トリオの『ダーク・ビューティ(Dark Beauty)』もいち早く入手しては、当時よく聴いていた一枚だ。

John Coltrane『Blue Train』

もちろん、マイルス・デイビス(Miles Davis)やジョン・コルトレーン(John Coltrane)、そしてソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)などのレコードも1枚やそこらは手に入れていたが、当時の筆者はジャズ評論家たちから必携・必聴とされている果てし無いジャズレコードの大群に、完全に打ちのめされていたことを記憶している。こんなにも、必ず聞いておかなければならない演奏があるなんて、いったいどうしようか…。一生をかけてもその全てを制覇するのはムリだろう、と真剣に悩んでいたのだった。

そこで(筆者の勝手な思い込みで)初心者にはチト馴染みにくいセロニアス・モンク(Thelonious Monk)やチャールズ・ミンガス(Charles Mingus)などのレコードは後回しにしていたし、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)やディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)、そしてバド・パウエル(Bud Powel)などの全盛期が少しばかり遡るプレーヤー(ビ・バップ期の人達)に関しても、LPを購入する段階にはほど遠かった。

Art Blakey&J.M.『Moanin』

本来、ギタープレーヤーも好きなのにほとんど手が出ないし、アート・ブレイキー(Art Blakey)とジャズメッセンジャーズ(JM)の作品も取り敢えず『モーニン(Moanin)』1枚でお茶を濁していた。MJQ等はパス、モダン(ハード・バップ以降)とは云えない古い時期のプレーヤーやビッグ・バンドものも未だ素通りだった。

勿論、購入出来ないレコードについては、可能な限りジャズ喫茶を巡って探しては聴くようにしていたし、前述の様なラジオ番組が随分と手助けをしてくれたが、気に入ったレコードはどうしても自分の手元に置きたくなるのが心情である。(ジャズ喫茶については後に詳述の予定)

だが、ようやくそれなりにハード・バップ期の主要なプレーヤーを網羅し、それ以前のビ・バップ期や逆に後のモード・ジャズやフリージャズのミュージシャンにも手が廻る様になっていくのは大学も3年生以後で、LPも400~500枚くらい集まった時期より後であるが、其処ら辺の事情については次回以降で触れていくことになる。

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