ところで、この時期(高校1年から2年頃)には夏・春・夏とアルバイトを行ってわずかばかりの小遣い銭を補う収入を得た。しかしその殆どはレコード等の購入に費やされ、前述の通り肝心のオーディオ機器の追加購入は出来なかった中で、長岡鉄男氏(オーディオ評論家)の記事の影響などもあってか、少額の投資で楽しめる小型スピーカーの自作に挑戦したのがこの頃であった。
先ず一組目として、三菱・ダイヤトーン(DIATONE)の P-610 “ロクハン”を使ったものを製作した。この16cmフルレンジ一発のスピーカーの購入時の価格は1個当たり2~3千円だったと記憶している。
またこの時のユニットは厳密には 610Aだったと思うが、20ℓ程度のバスレフ箱に入れていた。そしてこのエンクロージャーの工作も、近所のDIYホームセンターで調達した2cm厚くらいの合板・板材を使い、主に木ネジと木工用ボンドで簡単に組み立てたものだった。
切り出しの精度や木工の技術はいい加減だったハズだが、誤差はカンナで現物合わせで修正した。結果、この大変能率の良いスピーカーはスカッとした抜けの良い音で鳴り、小さめの音量でもほど良くバランスのとれた素直な音質であった。音量を上げれば、それに比例した元気な鳴り方をして、外観寸法から想像される以上の低音も出た。費やした時間と労力は別として、掛かった費用を考慮すると、そのハイCPぶりは驚くほどであった。今更ではあるが、このユニットはやはり不朽の名機と言って良いスピーカーなのだった。
但し13~14年くらいでエッジがボロボロになり、エッジ部分の交換という考えは浮かばずに廃棄してしまった。また、たぶんその頃は、現在の様な 610補修・交換用のウレタン・エッジなどは簡単には手に入らなかっただろう。だが、返す返すも、勿体無いことをしたものだと思う。
昔は、この P610シリーズは安価でもあり気軽にいじれて、それでいて素晴らしい表現力を持つユニットだったのだが、生産が終了して久しい現在では、貴重なコレクターズ・アイテムとなっていると聞く。時代は変わったとしか言いようがない…。
次にコーラル(CORAL)の BETA-8でSPを自作するつもりでいたが、予算のメドがたたず取り敢えずランクを落としてFLAT-8を手に入れる予定で先に箱の製作を手掛けた。
厚さが2.5cmの合板パネル数枚を購入し、何れかの自作記事を参考に切断部分のけがき作業を終えた段階で資金が続かず、しばらく放置した後に格安(タダ同然)で友人へ売却したのだった。ところが、この材料を基に友人が完成させたスピーカーは、FLATシリーズらしい高能率の独特の明るくきらびやかな中高音で、筆者に「しまった、譲って損をした!!」と後悔させるには充分の音色を響かせていたのである。
但し、このスピーカーを製作した友人は、P610を始めとして、ナショの 8P-W1“ゲンコツ”やパイのPAXシリーズ等を据えた自作SPを何台も作っていた強者で、木工の技術も筆者よりも格段に優れていた人物で、その成果を単純に比較するのはムリがあったのだが…。
ところで自作スピーカーについては、その出来栄えが気に入り大変満足した様子を述べたが、しかし、他の自分の所有していたオーディオ機器の再生音も含めて、それらは自画自賛気味の筆者の当時の感想であり、本当のところの良し悪しは解からない。今、改めて聴いてみたら、物凄く酷いものである可能性も多々あるのだ…。
オーディオ・ファンには、我が子(自らが所有しているステレオ機器)可愛さで偏見に満ち溢れていて、“良い音”に関して自説を曲げない偏屈者が多いともされる。そうだ、極めてライトなオーディオ・ファンに止まっていると自認している筆者においても、確かにこの点は充分に注意しなければならないことで、決して他人事ではないと思うのである…。
さて、次回以降は浪人期間の“第1.1世代/Season-1.4”を挟んで、“第1.5世代/Season-1.5”から後は大学時代の筆者の音楽とオーディオ趣味に関する話をしたい。この時期の大きなポイントは、自らサックスの演奏を手掛けたことと、何と言ってもオーディオを買う側から売る側に回ったこと!? であった…。
-終-
【参考】記事内容に関連した動画を掲載したので、参考として欲しい。
↓提供:Aki Iwamura
↓提供:masa777hokkaido
↓提供:kotetu1011
我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第0世代/Season-0”…はこちらから
我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1世代/Season-1.0”…はこちらから
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我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1.5世代/Season-1.5”…はこちらから
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