登場から、早くも3年たった東北新幹線のE5系。光沢のあるグリーンの鮮やかな色が美しい車両です。デザインから機能まで、隅々にこだわった新幹線車両。遅まきながら、初めて利用する機会がありましたので、レポートをお届けします。
私が乗車したのは8時40分発車のはやぶさ7号。新青森行き。秋田新幹線「こまち」と並結していて17両編成。さて、旅のスタートは東京駅。はやぶさ7号の発車する22番線ホームにあがると、2階建ての新幹線、Maxが発車待ちでした。この車両は引退が決まっているので、貴重です。反対側の23番線ホームには長野新幹線、E4系の「あさま」。その隣の14番線ホームには東海道新幹線のN700系。ここで疑問!なぜ23番線の隣が14番線なのか?(それは、次回の記事でとりあげてみようと思います。)
8時18分、やまびこ202号が入線してきました。これが折り返し「はやぶさ7号」になります。発車の10分前の8時30分、車内清掃を終えて、いよいよ乗車開始。全車指定席なので、静かに列が進みます。車内は、ウォームグレーの壁と白木調の木目のすっきりとした空間に、グレーの濃淡をデザインしたシート。座席は、シート幅やシートピッチを拡張したほか、座面スライド機構や可動式ヘッドレストも備えたリクライニングシート。まだ少し新車の匂いが嬉しいところです。乗客の8割はビジネスマンなので、静かなものです。私は4列のA席。進行方向右手になるので、すれ違うさまざまな新幹線が見られます。窓も全車両、小窓で優等列車気分が満載です。
8時40分、東京駅を定刻発車。すぐに上野に停車するもほとんど乗車がなく、地上の高架区間を埼京線と寄り添いながら走ります。やがて、大宮。ここで、ほとんど満席になりました。大宮を出ると、急激に飛ばします。床下はなんと台車までを完全に覆われているので、機械騒音を抑えられ、さらに車体側面をなめらかにしているため空力音を低減しています。吸音材もフルに装着されているので、騒音の低減も効果は絶大のようです。
そして振動のない走りっぷり。車体の揺れを感知して左右の振動を低減するフルアクティブサスペンションの効果でしょう。高速走行時にも、静かで快適な乗り心地でした。デッキで携帯電話で話をする乗客も余計な大声で話すこともないようです。遠く筑波山を見ながら、小山を通過し9時半には宇都宮通過。
さあ!ここから320km/h運転。印象ですが、音と振動が静かなおかげで、逆にスピード感はあまりない感じがします。むしろスピード感だけなら東海道山陽新幹線N700系の時速270kmの方が速い印象です。でも、流れる景色を見ると明らかに速い!見たこともない風景の飛び方です。9時40分那須塩原通過。9時45分あたりからトンネル区間が続きます。トンネルでも空気圧の関係で起こる「ドン!」という振動が全くありません。電灯のスイッチをON/OFFするように、外が暗くなり、また明るくなりの繰り返しのようです。9時50分,郡山通過。ここで、トイレへ。今では当たり前のようになった洗浄機能付き。列車のトイレは狭く、揺れる、薄暗いイメージがありますが、ここでも全く違います。E5系では女性専用トイレと洗面所が1・3・7号車に設置されるなど、女性のためのサニタリー空間の充実も図られています。ただ、利用してみて感じたのは便器の洗浄センサーの位置と、列車非常停止のボタンの位置。並んで配置されているのです。間違って押したら、とんでもない事になります。
そうこうしていると、間もなく仙台のアナウンス。車内にいた殆どの客が降りてしまいました。
さて、今後E5系を利用する人にご案内を。
その1.青森側の先頭10号車は最上級のグランクラスですが、東京よりの先頭1号車は普通車です。この車輌には座席が29席しかないため、こぢんまりしており、シートこそ違え、グランクラスの気分を味わうことができるそうです。マニア中心にすぐ埋まるので、早めの予約を、オススメします。
その2.E5系は普通車でも各列に電源コンセントがついていますが、PCを使うならコンセントが装備された窓際の席か、車輌の壁際の部分がオススメです。ただし、壁際は進行方向前側の端でないと、コンセントが後ろになってしまうため、後ろの壁際を間違って取らないようにしたいものです。
乗車の感想はあっという間でした。かつては特急「ひばり」で4時間かかった仙台まで、わずか約90分。2015年度末には北海道に延伸する北の新幹線。今後の活躍を期待したいところです。
《広告》