【BLUES】 West Side Soul / MAGIC SAM  シカゴ・アーバン・ブルースの名盤を紹介 〈12JKI07〉

サム写真151pbS5aa+LL._SL500_AA300_

マジック・サムの『ウエスト・サイド・ソウル』は、シカゴ・アーバン・ブルースの永遠の名盤だ。現在では簡単に入手できるので、是非、聞いて欲しい。

1967年発表の本作を聴くにつれ、2年後のサムの早過ぎた死が、その後のモダン・ブルース界の停滞を招いた、と思うが如何だろうか・・・。

 

マジック・サムことサミュエル・ジーン・マゲットは、1937年2月14日、米国ミシシッピ州グレナダの郊外に生まれた。1950年代の初頭に家族とともにシカゴへ移り住みブルース・シーンに足を踏み入れたが、当初はシル・ジョンソンからギターを教わったという。

1957年にウィリー・ディクソンに見出されて、コブラ・レーベルでレコードデビューをはたした。その後、コブラでは計4枚のシングルをリリース。そしてこの50年代後半には、バディ・ガイオーティス・ラッシュらと共にシカゴ・アーバン・ブルースのセカンドジェネレーションとして一時代を築いたのだ。尚、ボーカルスタイルはB.B.キングボビー・ブランドに影響を受け、ギタースタイルはシカゴ派とB・B・キングのそれがほど良くブレンドされたようなものだったが、骨太のブギも得意としていた。

兵役から脱走して一度はキャリアをふいにしたが、1960年から61年にかけて音楽活動を再開したサムは、チーフ・レコードへレコーディングを行い、シングルを4枚リリースした。この頃は以前よりR&B色が強かったようだ。66年クラッシュ・レーベルの「アバウト・オブ・バッド・ラック」で復活。翌年の本作でモダン・シカゴ・ブルースの旗手となり、知名度も格段に向上した。このアルバムはデルマーク・レーベルで録音されたもので、1970年頃の我国でもかなり支持されたようだ。ブルースのファンのみならずディープなロック・ファンやミュージシャンにも人気があり、多くの人が聴いていた。

この後、「Black Magic(Delmark◎DE620/Pヴァイン◎PCD23661)」を遺すも、1969年12月1日に心臓発作により32歳の若さ急逝してしまう・・・。

 

West Side Soul

A:

①1:THAT’S ALL I NEED
②:I NEED YOU SO BAD
③:I FEEL SO GOOD (I WANNA BOOGIE)
④:ALL OF YOUR LOVE
⑤:I DON’T WANT NO WOMAN

B:

⑥:SWEET HOME CHICAGO
⑦:I FOUND A NEW LOVE
⑧:EVERY NIGHT AND EVERY DAY
⑨:LOOKIN’ GOOD
⑩:MY LOVE WILL NEVER DIE
⑪:MAMA, MAMA – TALK TO YOUR DAUGHTER

⑫Bonus-Track:I Don’t Want No Woman (alternate take)

ほとんどがカバー曲だが、その何れもがサムの個性を強烈に放っている。ハイトーン・シャウトが強烈な②、ジョン・リー・フッカーの影響が色濃いファンクなブギが印象的な③、④は珍しくオリジネル曲だが抜群のできだ。 ⑥はロバート・ジョンソンの名曲をシカゴ・アーバン風に蘇らせた。録音状態は少々悪いが、内容は素晴しいし、サムの音楽に対する爆発的なアプローチが伝わって来るアルバムである。

 

後々まで生きていれば、と思うミュージシャンはあまたいるが、ブルース界でもTOPクラスの早世の天才だ。楽曲を聴いていると、殺されても死なない様な凄まじいバイタリティを感じるのだが、この人の死は突然で、また誠に残念であった。彼のスピード感溢れるブルースは、その後のソウルの時代を予感させるものがあったのだが・・・。

-終-

 
《広告》