【塩分の多い食品】
人間は主に汗腺から汗を出して、 この汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げます。ところがネコには汗線はほとんどなく、汗をかいての体温調節はせずに、犬と同様のパンティングと呼ばれるあえぎ呼吸で呼吸器粘膜から気化熱を放散して体温を下げるのです。
当然ながら塩分は生体機能を維持するために必要ではありますが、この様にほとんど汗をかかないネコは、人間に比べてはるかに少ない塩分しか必要としません。よって人間向けに味付けされた食品では、ネコにとっては塩分が強すぎて体に悪影響を与えるのです。
塩分の過剰な摂取は腎臓に大きな負担をかけるので、塩辛い食品を安易に与えてはいけません。ちなみにこれはネコ以外の小動物全般にも当てはまることであり、人間の塩分に対する許容量は他の大半の陸生動物より高いとされています。
またネコは蒲鉾(かまぼこ)や竹輪(ちくわ)などの魚身由来の練りものが好物ですが、これらは塩分も強く添加物が含まれている為、あまり与えないように注意しましょう。あまり多く食べさせると高血圧や膀胱炎を起こしたり尿路結石などの原因にもなりかねません。蒲鉾や竹輪などのような加工食品ばかりを食するとビタミンB1欠乏症になる可能性もあるのです。
極度の偏食の結果、重症になると自分では毛繕いが出来なくなり、遂には起きあがれなくなることもあります。
【生の豚肉や羊肉、鹿肉など】
人畜共通の感染症のひとつに、トキソプラズマ症という病気があります。生の豚肉や羊肉、鹿肉などには、この病気の感染源となるトキソプラズマ原虫によるシスト(包嚢)が含まれていることがあり、特にこれらの肉等は、このシストの保有率が他の肉類より高いとされています。
このシストが含まれた生肉をネコが食すと感染する可能性があります。しかしながら、加熱すればシストは死滅するので、家庭でネコに肉を与える場合は、必ずよく加熱してから与えるようにしましょう。
ちなみにトキソプラズマは人間を含む幅広い温血動物に感染し寄生する為、人間も豚等の生肉は食べないようにと言われています。しかし、ネコ科の動物は、トキソプラズマの感染においては終宿主(人間は中間宿主)であり、終宿主のネコの排泄した糞便の中にはトキソプラズマのオーシスト(接合子嚢)が存在しており、人間への感染経路としては、飼いネコのトイレ/砂場掃除の時や、そのネコが徘徊した場所にまき散らしたオーシストが手に付き口に入ることが考えられます。
トキソプラズマ症は、健康な人間や大人のネコが感染してもほとんど発症しない場合が多いのですが、妊娠中の女性が初感染すると、胎児に重篤な症状を引き起こす場合があり、また生まれて間もない幼いネコが感染しても症状が重くなり、死に至ることもあり得るので充分注意が必要です。
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