再生可能エネルギー(renewable energy)の開発は重要な課題だが、その中でも太陽光発電は代表的なものである。その太陽光発電を宇宙空間で行う為の予備的な実験が始まる様だ・・・。
太陽光発電(太陽電池を利用し太陽光を直接的に電力に変換)を宇宙空間で行い、そこで発電した電力を地上に送電するシステムを実現化する為の実証試験を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは3月1日に兵庫県内で実施し報道関係者に向けて公開する。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2009年度から宇宙システム開発利用推進機構と協力して、送電側アンテナの方向がずれても正確にマイクロ波が送れる技術などを開発している。
今回公開されるのは、屋外に設置した送電側のアンテナから受電側のアンテナに向けてマイクロ波を送る実験で、送電装置から約55メートルほど離れた場所に受電装置を設置した上で、送電側から約1,800ワットのマイクロ波を発射、受電側で電気に変換する屋外試験となる。マイクロ波を正確に受信出来れば、数百ワットの電気に変換される。
宇宙空間で行う太陽光発電システムの場合、天候等に左右されることがなく安定かつ大規模な発電が可能だ。地上約36,000キロの上空に直径2~3キロの太陽電池パネルを展開して、原子力発電所1基分に等しい約100万キロワットの電気を発電する。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは2030年~2040年代の実用化を目標として開発を進めているが、実現に向けては送受電システムの技術開発に加えて、太陽電池パネル自体を宇宙空間へ運搬する方法や現場での組み立て作業などの課題が多くあると考えられる。
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【続報】
JAXAは3月8日に地上での実証実験を実施。1.8kWのマイクロ波を送電器から発射し、55メートル先にあるアンテナで受け止めて直流電力に変換、300ワット以上の電気を取り出すことに成功したという。
【続々報】
三菱重工業は3月12日、同様の技術の地上実証実験を行い、長距離の無線送電を実現したと発表した。今回、地上で、10キロワットの電力を500メートル先までマイクロ波を使って無線で送電し、ロスはあるものの受電に成功したとのことである。
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