上野駅8番線ホームに停車中の新潟行き特急「とき」。1978年の撮影です。ヘッドマークには「とき」の下に漢字で「朱鷺」と書かれています。子供の頃は、不思議なヘッドマークだなと思っていました。「とき」なら大宮の鉄道博物館で見たことがある、という方もいらっしゃるでしょう。たしかに、鉄道博物館にはクハ181-45という「とき」で実際に使用されていた車両が展示されています。しかし、この写真の車両は全く違います。わかる人が見れば、「ほお。」と思うはずです。
運転席屋根上の前灯とホイッスルが無く、前面スカートはミニスカート。むき出しの連結器は横川~軽井沢間を通過する際、専用補機EF63形と連結するため、長野に配置されていたのです。信越本線の特急「あさま」に使用されていました。さらにマニアックに見れば、タイフォンカバーが中折れ式。ボンネット側面外気取入グリルが縦型スリット。そう、この車両はクハ180-5という車両なのです。1984年に上越新幹線開業に伴って廃車となりましたが、なんと奇跡的に復活。改造されて九州へ渡り、鹿児島本線の特急「有明」を名乗るのです。そして1991年に廃車になります。数奇な歴史を歩む車両ですが、この写真を撮った時はまさか九州で走り終えるとは、全く予想もつきませんでした。
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