「21世紀の電車」地下鉄6000系 〈17/38TFU03〉

東京メトロ千代田線の6000系電車。

1968年(昭和43年)4月、世界初のサイリスタチョッパ制御の電動機器を搭載し、「21世紀の電車」と呼ばれて登場しました。デビュー当時、私は用もないのにわざわざ綾瀬駅まで乗りに行きました。アルミの車体にグリーンの帯を巻いた美しい姿にまず見とれてしまいました。車内は、今まで他の電車で感じたこともないような新しい事務用品のようなにおいと、なんとなくヒンヤリ冷たい感じのする独特の雰囲気がありました。駅を発車して、チョッパ制御の特徴ある「ブーン」という高音域が聞こえてくると、それだけで新しい時代の音のように感じました。乗り心地は、当時の他の電車とは全く異なるなめらかさでした。

外観は特徴ある左右非対称の全面デザイン、木目調の化粧板を使った仕切り板(まるで豪華列車のようでした)、連結面は全断面が大形貫通路になった見通しのよい車内(冬場は寒くてたまりませんでした。後に、ドア付きに改造されましたが・・)、客室やドアの窓が小さく、戸袋窓が無い無機的な宇宙船のような壁面など斬新な車両でした。そして、三角形のつり革がずらりと並ぶ光景も未来の電車にふさわしい雰囲気がしたことを覚えています。(当時は丸型が当たり前でした。)ああ、これは未来の車両だと1970年の万国博覧会開催の前から「未来」という言葉の意味がわかったような気がしました。

それもそのはず、この電車はデビュー当時から40年先まで使用されることを目標にしていたのです。
今ではその当初の目標を越え、50年に達するかという勢いですが、すでに後任の16000系電車が投入され、2017年度には千代田線の東京メトロの車両(10両編成車)はすべて16000系に統一される予定です。6000系も廃車解体や海外に譲渡された車両も出始め、徐々に姿を消し始めました。

21世紀を迎えてもなお記憶に残しておきたい、名車です。

6000kei
今なお存在感のあるデザインの6000系(綾瀬駅にて)
16000ekei
6000系の後任、16000系。(代々木上原駅)

 

 

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投稿者: ローレル賞

鉄道好き。「**テツ」で分類できないくらいオールマイティに興味が尽きない。他の趣味の歴史とからめて、やや懐古趣味に走る傾向もある。ドラマチックに鉄道を語るのが至福の悦び。