チョコレートパラダイス〈17/38TFU03〉

首都圏西部では、1970年代末期になってもチョコレート色の旧型国電が走っていました。

横浜線
八王子駅で発車を待つクモニ13連結の横浜線

八王子駅で撮影した横浜線の荷物電車。今ではE233系電車ばかりになり、沿線もマンションや住宅の立ち並ぶベッドタウンにすっかり様変わりしましたが、ここも旧型国電が走る線区でした

。そして、日中の時間帯には「クモニ13」という車体の短い(17m)荷物電車を1両、連結していました。その光景は、ただでさえ、首都圏から旧型国電が消えゆく貴重な姿である上に、荷物電車を連結しているという点でも多くのマニアの注目を浴びていました。この電車は新聞輸送のためで、1979年9月まで荷物電車を並結していました。白いホーロー引きの「荷物電車」というサボや、正面窓の内側にかかる「東神奈川~八王子」の青地に白抜きのサボもいい雰囲気です。

今回は、懐かしい写真と見比べながらいくつかご紹介します。

南武線
立川駅の南武線川崎行き 更新修繕のロクサン型

次は南武線の73系電車。車体はアルミサッシ化され.車体更新したものが主流でした。貨物列車が存在しており、渋い旧型機関車のED16が赤い車体のホッパー車両を牽いて走っていました。ED16は昭和6年製造の古豪で、小さいながらも存在感のある無骨なデザインで人気が有りました。ED16は青梅鉄道公園に保存されています。貨物扱いは1987年に廃止されました。

鶴見線
木製窓等の原形を色濃く残す鶴見線のロクサン型

そして鶴見線。旧型国電の宝庫と、昔から言われている路線です。73系の中でも、3段窓や非更新の原形に近い車両が多く走り、魅力でした。茶色い電車が一掃されて、黄色い電車に置き換わりましたが101系が導入されてその101系も最後までこのエリアには残りました。「古い電車を見たければ、鶴見線に行け」が一部マニアでは合言葉のようになっていました。

大川支線
鶴見線大川支線の両運転台のクモハ12

また、大川支線と呼ばれる超ミニ路線は路線の長さや、構造面でも他の車両には置き換え不可能と言われ、昭和初期に製造された両運転台に改造された「クモハ12」が1両でいったり、きたりするのどかな路線でした。70年代の頃は、ごく一部のマニアにしか知られていないような「秘境」路線でしたが、廃止の話が出てからマスコミでも話題になり、1両の電車はマニアだけで超満員という光景が見られました。1996年に惜しまれながら引退しましたが、車両は東京総合車両センターに保存され、今でも一般公開のイベントでその姿が見られます。

横浜線NEW
205系時代の横浜線。これも懐かしくなってしまいました。
南武線NEW
南武線のE233系。隣は205系。

戦前~戦後の風景を象徴するようなチョコレート色の電車たち。釣りかけモーターの唸り。コンプレッサーのコトコトコトという響き。まるで演奏を聴いているような懐かしい風景でした。アルミ車体の明るい車両が彼らの走った線路をすました顔して走っていく光景は、感慨深いものがあります。

緊急追加:この記事を投稿した日(12月6日)、南武線の205系(ナハ39編成)がラストランでした。沿線には多くのマニアがカメラを向けていました。お疲れ様、205系。

ラストラン
12月6日 11:40頃、武蔵溝ノ口付近の205系

 

 

 

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