【実写版『攻殻機動隊』】撮影開始・・・ついでに「全身義体」や「光学迷彩」の実現に向けての話。 〈44JKI15〉

攻殻機動隊777  51T+NdDC94L (1)『攻殻機動隊』は、1989年に出版された士郎正宗のSFマンガですが、4月14日(現地時間)、米国のParamount PicturesとDreamWorks Picturesは、『攻殻機動隊』の実写版である『GHOST IN THE SHELL』の撮影がいよいよニュージーランドのウェリントンで開始されたと発表しました。

スティーヴン・スピルバーグとドリームワークス(DreamWorks)が2008年に実写映画化の権利を獲得したこの作品は、(最新の情報では)2017年3月31日の全米公開を予定しています。監督は、英国出身で『スノーホワイト』のルパート・サンダーズ、脚本は『ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男』や『ザ・ケープ 漆黒のヒーロー/THE CAPE』のウィリアム・ウィーラーです。更に製作には、Production I.Gの石川光久と『鉄拳』実写版の藤村哲也も加わっています。また映画製作はドリームワークスですが、米国での配給権はディズニーが持つ予定。

主人公の草薙素子に扮するスカーレット・ヨハンソンは、『アベンジャー』シリーズのブラック・ウィドウ役や『LUCY/ルーシー』のルーシー役など、SFアクション映画の出演も多い女優さん。

また発表済みの配役としては、草薙が所属する公安9課の荒巻大輔課長に北野武、草薙の部下バトーにピルウ・アスベック、革命の首謀者クゼ・ヒデオ役が(当初は笑い男役と報じられていた)マイケル・ピット、オーレット博士にジュリエット・ビノシュ。この他、まだ具体的な役は不明ですが、桃井かおりや泉原豊が出演すると伝えられています。

因みに、クゼ・ヒデオが登場するということは、『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』に基づくストーリーとなる可能性もありますが、シリーズ間の垣根を超えて再構成した物語となるかも知れません。

 

さて『攻殻機動隊』と云えば、その世界観を支える主要な科学技術的アイテムでありガジェットに、「義体化」と「光学迷彩」があります。

 

「義体化」は、本作におけるサイボーグ技術の総称。義手や義足、そして人工臓器の装着を全身に拡張して、主人公の草薙のように、脳と基幹神経系以外はほぼ全身を人工物に置き換えた状態を「完全/全身義体化」と言います。当然、一部の肉体部分だけを機械化することも出来きます。負傷や身体的な障害を補う目的以外にも、生身の人間をはるかに越える高い身体・運動能力により、格闘や射撃などの戦闘能力の向上を図ることが目的の場合も多いようです。

但し『攻殻機動隊』で描かれる世界では、肉体の義体化は一部に止(とど)めて、自身の脳と外部の通信ネットワークとの接続だけを可能とする「電脳化」だけを実施することも可能。

また義体化する部品・パーツはそのほとんどが人間(ヒューマノイド)型ですが、『攻殻機動隊』には戦闘車両や非人間型のロボット義体も登場します。

 

尚、現実世界での義体に近いものとしては、筋電義手(きんでんぎしゅ)があります。筋肉に発生する表面筋電位の出力量によって、内蔵された電気モーターを動かしてモノを掴んだり離したりする義手のことです。

通常の人間(ヒト)の手や腕の動きは、脳から命令として送られる微弱な電気的刺激を認識した神経がアセチルコリン(Acetylcholine)という神経伝達物質を分泌し、それを受容体が受ける取ることによって筋肉は収縮活動を実行します。そしてこの時に発生する電位は微弱ではあるものの、体表面でも検知することが可能です。これを「表面筋電位」と言い、この表面筋電位を感知してモーターを動作させるのが筋電義手なのです。

但し、我国での筋電義手の普及率は極めて低いのが現状だそうです。更に、国内品はコストが高く外見変更の柔軟性が少ないなどの理由でシェアも低いとのことです。

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