・見出し…各文章のまとまり/記事の冒頭に置かれ、そのまとまり/記事の内容を一目で分かり易く記した標題のことです。区切り方によって「大見出し」や「中見出し」、そして「小見出し」の違いがあり、本文と区分する為に文字の大きさや字体を変えたりすることもあります。
・前書(まえがき)…本文の前に著者などがつける文章のことで、「序」、「序言」、「端書(はしがき)」などとも言います。また、その本の著者以外が記した場合は「他序(たじょ)」と呼ぶことがあります。
・前付(まえづけ)…本文の前に付けられている部分のことです。「口絵(くちえ)」、「扉(とびら)」・「標題紙(ひょうだいし)」、「献辞(けんじ)」、「謝辞(しゃじ)」、「前書」、「目次」などから構成されています。本によっては本文とは独立したページを有している場合もある様です。
・後書(あとがき)…本文の後ろに著者などがつける文章のことです。著述に関する感想や逸話・裏話など、また出版に関わった他者に対する謝辞なが掲載されている場合が多い様です。「跋(ばつ)」、「跋文」、「後序」、「後記」などとも呼ばれています。
・奥付(おくづけ)…書誌事項が記述されている部分(ページ)のことで、「新作書籍出板之儀に付触書」に由来しており、我国における現在の様な形は岩波書店が最初に始めたとされています。主にその本の題名/タイトル、著者名、発行者名(出版社名)、印刷所名、製本社名、ISBNコード、発行年月日、版(刷)数、定価、著作権表記などが記載されています。通常、我国の書籍等では最終ページに入り、洋書の場合は題名/タイトルページの次のページに記載されており、版毎の出版社の権利関係を明示する役割も持っています。
・折り込み…一般的には新聞等の折り込み広告を指しますが、書籍・図書に関してはその版型より大きな紙を折り畳んで綴じ込むことを指します。通常は地図や統計表などに多く用いられますが、雑誌の目次や広告にも使われる手法です。
・折れ込み(おれこみ)…製本時にページの角が小三角に折り込まれてしまったもののことです。通常は製本時に小口を少しカットするので、折れ込みがあるとそのページだけ製本後の小口より外へはみ出してしまいます。折れ込みを修正するには、製本後の小口のところに合わせてカットし直す必要が出てきます。
・折り返し…上製本や豪華本などの表紙を製作する場合、クロスなどの上に芯紙を貼って更に四隅を折って表紙をつくる事を言い、またはその折り返した部分を指します。
・遊び紙…「表紙」と「本文」の間に入る飾りの紙のことです。冒頭と末尾に入る場合が多く、それぞれ「前ペラ」と「後ペラ」と言います。
・そで…表紙を包む為の「カバー/ジャケット」の折り返し部分のことです。この部分に著者プロフィールやシリーズ本の紹介などを印刷したりします。
・白ページ…書籍・図書の中で、何も印刷されていないページのことを指します。
・花布(はなぎれ)…上製本の中身の「背」の上下両端に貼り付けた布のことで、「ヘドバン」(ヘッドバンドの略)とも言います。元々は、色糸を交互に折り本を丈夫にすることがその役割の主だった様ですが、現在では装飾と背部を隠すことが目的となり、一般的には縞柄などを模造した布を用いています。
・見返し(みかえし)…「表表紙」」や「裏表紙」の裏側にあたる印刷がされていない部分で、一般的には「表表紙」・「裏表紙」の内側に貼り付けた本の中身(本文の部分)と「表紙」を繋ぎ合わせている丈夫な紙のことを指しますが、「表紙」と本の中身を貼り付ける「力紙(ちからがみ)」・「効き紙」と、「表紙」に貼られていない本文側の紙の「遊び紙(遊び)」とがあります。「表紙」と本の中身の接合を補強する為や中身自体を保護する目的の他、本そのものの耐久力を保持する役目があります。 上製本の場合は「表紙」の側がベタ貼りにされていますが、ここに文字・図版を印刷することも可能です。尚、色紙を使用することも多い様です。
・扉(とびら)…一般的に「見返し」の次にあるその本の題名/タイトルや著者名、出版社名などが書かれているページのことで、各部・各章の最初のページに表題や見出しが印刷された「部扉」・「中扉」と区別して「本扉」と言うこともあります。紙質を変えて本文と区別しているものもあり、また2ページにわたっているものを「見開き扉」と呼びます。
・表題祇(ひょうだいし)…本文の前にあってその本の題名/タイトルなどが書いてあるページ。一般的に外国の書籍では、この「表題紙」に書誌データの重要な部分を記してありますが、我国では多くの場合が「奥付」に記載しています。また、「標題紙」に書かれている標題を「標題紙標題」と言います。
・平(ひら)…本の表紙のたいらになっている部分のこと。一般的に「表紙」の「平」には書誌事項(題名/タイトル、著者名、出版社名など)が記されています。尚、書店などの陳列で見られる「平積(ひらづみ)」は、表紙の「平」を上にむけて積んで販売している様子のことです。
・函(はこ)…本を収納する箱のことで、通常は丈夫な厚紙で作られています。所謂(いわゆる)、ケースですね。
・チリ…表紙が本の中身(本文の部分)よりも大きい箇所のことです。通常の上製本であれば「表紙」を別の紙などで包んで作る際に、「天」・「地」・「小口」から各々一回り大きくはみ出した表紙の内側の部分のことを指します。3mmほどの幅が標準とされますが、表紙と中身が同じ大きさの並製本の場合は、この「チリ」の部分はありません。
・束(つか)…本の中身の厚さ、即ち背幅のことを「束」と呼びます。本の製作・装丁を行う際は、実際に使用する材料・用紙を使って事前に「束見本」というサンプルを作り、正確な寸法を割り出した上でデザインを実施します。「カバー/ジャケット」や「帯」、ケースなどはこの「束見本」を考慮して作らないと、完成してから寸法が合わなくて失敗する可能性があるのです。また、ページ数が少なくてもある一定の「束」を出す為には、「嵩高(かさだか)」の用紙を使って本文を印刷します。ちなみにこの「嵩高」用の紙は、紙の繊維間の結合が緩いので、厚くても軽いのです。その為、「束」が厚い書籍で使用すると、厚さの割に軽く仕上がるのです。
・溝(みぞ)…「背」と「平」の接合部分に本の開閉をよくする為に作る溝状の筋・くぼみのことです。通常は、上製本の場合にのみに設けられます。
・耳(みみ)…上製本の中身を丸み出しした後にパッキング機の万力に挟んで締めつけて、背の部分を両側に押し広げた時に出来る二辺の隆起部(はみ出した部分)。本の開きを良くし、小口が前に飛び出すことを防いで本の形を保つ上で必要とされます。
・カバー…本の表紙にかけられたカバーやジャケットなどの覆いのことです。かつては本の搬送中の汚損防止用の目的が主でしたが、現在は宣伝広告や販促の意味合いが強く凝ったデザインのものが多くなっていて、その本の中身を表わす重要な部位と云えます。また、昔は図書館でもこの「カバー/ジャケット」を取り外して提供していたところが多かった様ですが、現在では付けたままでの運用が一般的です。最近では、耐久性向上と色褪せ防止などの為にPPやPC加工で仕上げる場合が多いですね。
・栞(しおり)・スピン…本の頁の間に挟む、読みかけの目印として使用する小糸や布製のしおり紐のこと。「背」の部分に糊付けされて本の中に織り込まれていますが、通常はその本の対角線×1.5倍程度の長さです。
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