『紫電改』のプラモデルについて、思いつくままに書いてみた。プラモデルの飛行機(特に軍用機)好きの人にしかウケない内容だが、他の方々にはご容赦願いたい。
一番最初の想い出は、田宮模型製の『1/50 日本傑作航空機シリーズ No.2 紫電改』(1964年発売)①だ。迫力ある箱絵は小松崎茂の作品で、まだこの頃のタミヤのロゴは旧ロゴだった。今思い返せば大変チープな模型だったが、塗装をせずに組み上げたものを手にして、“空戦ごっこ”をして遊んだことを子供心によく覚えている。モーター駆動でプロペラが廻せたことは後に知った・・・。胴体内の単三電池と、別売のマブチ13モーターで、プロペラの回転が可能だったのだ。
次いでニチモの1/50も記憶に残るモデル②であったが、ボックスアートはこれも小松崎先生のもの。編隊を組んで飛び立とうとする瞬間が描写されていて迫力がある。343空の戦闘701飛行隊長の鴛淵孝大尉機か戦闘407飛行隊の林喜重大尉機あたりを描いていると推測される。ちなみに販売価格は450円。
また初期の頃の名品としては、バンダイの1/24 大型モデル『日本海軍 局地戦闘機 紫電改 (バンダイ WORLD WAR Ⅱ AERO FIGHTER SERISE No.0034044 ) プラモデル』③が有名だが、これも小松崎先生の箱絵だった。胴体周りの二重線の描き方が少々、変わっている(黄白黄の三重線となっている)。すなわち、ここらあたりが飛行隊長識別線の誤りの元凶かもしれない。
ニチモの1/35『旧日本海軍局地戦闘機 紫電改 川西N1K2-J』の箱絵も、F4U“コルセア”を撃破する菅野機を描いているが、これも胴体周りの二重線の描き方が黄白黄の三重線となっている。またこのキットにも、モーターを取り付けプロペラを回転させるギミックがあった。
童友社の1/32、『紫電改』④の箱絵は林大尉機“B 343-30”号機で二重白線だが、鴛淵大尉機を赤色二重線とする資料が添付されていた。たぶん、鴛淵大尉機の赤色二重線の誤りも、他社の箱絵などに影響されたメーカーが安易にコピーしたことが原因なのだろう・・・。
その他としては、筆者は所持していなかったが、アオシマの1/72 『川西 紫電改 改1 (真・大戦機シリーズ No.010)プラモデル』 ⑤はプラ部品がグレー塗色の状態、バージョン違いの『川西 紫電改 改2 信濃搭載機 (真・大戦機シリーズ No.011 )プラモデル』はオレンジ色(試作機色)に着色されて封入されていた。更にこのシリーズには、『川西 紫電改 爆裂弾搭載機 (真・大戦機シリーズ No.012 )プラモデル』があり、これは『紫電21型(紫電改)』に27号ロケット弾を装備して実戦配備された機体の戦闘301飛行隊所属・笠井上飛曹機がモデルで、ロケット弾、カウリング、コクピットが新造されている。
更に、長谷川製作所(現ハセガワ)の1/48シリーズでも“343-45”号機、赤帯タイプ⑥があったが、ちゃんと白帯に変更した箱絵のモデルもあるし、黄帯の菅野機を描いたものもある。
縮尺の小さなものでは、2009年頃に童友社からマルサン、サンワに続く1/100スケールのキットが発売されていたと思うが未入手だったので、詳細は不明。更に1/144も各メーカーのものが色々とある様だ。
そして、現在でも未開封で在庫しているものにのハセガワ1/72『川西 N1K2-J 局地戦闘機 紫電改 (日本海軍 局地戦闘機)』⑦がある。箱絵に描かれているのは歴代「一番人気」の343空戦闘301飛行隊長菅野直大尉の乗機だ。
更に数年前に制作したモデルには、同じく“飛行機のハセガワ”の1/32『川西 N1K2-J 局地戦闘機 紫電改』⑧があった。キャノピーとフラップは開閉選択式で2タイプ選べるパイロットフィギュア付きである。デカールは菅野直大尉の乗機“A 343-15”号機(松山基地:1945年4月)と戦闘407飛行隊所属の大原広司飛曹長の乗機“B 343-03”号機(松山基地:1945年4月)が選べたが、この模型では私は大原機を採用した。
また筆者の知人が、ハセガワの1/32モデルで『川西 N1K2-J 局地戦闘機 紫電改 “試作6号機”』を所持しているとの情報をくれた。この試作6号機は、計8機作られた試製『紫電21型(紫電改)』の中の1機であり、後期型より採用される面積の小さい垂直尾翼の試作を目的に製作された増加試作機だと推測されている。キットはカウルフラップ部品を新規プラ部品で成型し、排気管の収まる部分の角張った切り欠き形状も正確に再現している。デカール(マーキング内容)は、試製『紫電21型(紫電改)』 6号機“コ-K2J-6”(横須賀:1944年)が附属している。
今回、改めてネットで調べてみたところ、上記以外にも多くの『紫電改』のプラモデルが発売されていたことが分かった。数多くのモデルが製品化されていることは、まさしくその機種の人気のバロメーターなのであり、『零戦』は別格としても、間違いなく『紫電改』がいまだに旧日本海軍戦闘機の代表格であり続けていることが裏付けられていると思う・・・。
尚、本稿は『紫電改』実機関連の記事の【余談】のひとつとして書き始めたものだが、思いの外に文量が増えたので別稿としてみた。『紫電改』に興味・関心がある方は、本篇とも云える実機の記事(下記にリンクあり)の方にも是非ともお寄り頂ければ幸いである。
-終-
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