●プリメイン・アンプはハイCP機のビクター JA-S5
次いでプリメイン・アンプには、当時最新のビクター(VICTOR) JA-S5を選んだ。既に記した様に、トータルの予算の都合からチューナーなどの購入は断念していたが、それでも(限られた予算での)セットの要となるアンプ選びは混迷するかと思いきや、意外とすんなりと決まったのだった…。
1973年5月発行の『スイングジャーナル 6月号』“SJ 選定新製品”の記事に岩崎千明さん(オーディオ評論家、故人)がこの JA-S5を評して、
…そしてやっと待ちに待ったJA−S5が登場したのである。ビクターのSX3をフルに活かすにふきわしく、むろんこのクラスの市場製品中でも最も高い品質を秘めて。JA−S5はひとつ上のランクのJA−S7ではなく、なんとそれを飛び越して、JA−S9のレベルにまで内容を高めんと、無謀ともいえる企画性が、その内容の基本となっている。
と書いている。
まさしくこの辺の記事に影響を受けたのだろう。SX-3を鳴らすのに適当なアンプで5万円以下(定価は¥55,900-)で買えるものとして当時発売されたばかりの製品であるこの機種を“いの一番”に選んだのは間違いなく、アンプの選択についても、当然、それ程詳しい知識は持ち合わせていない中学2年生の筆者は、雑誌記事等の評価に大きく左右されていたのだった。
…JA−S5を試聴室のマッキントッシュのハイパワー・アンプと切換えてみても、JA−S5においてかえって音の立上りなどきれいすぎるほどに感じられるのは私だけであろうか。
と続ける岩崎さんの記事を読めば、もうこれは決まりであっただろう。
この JA-S5は、パネル・デザインやアクセサリー機能なども上級機の JA-S7に準じており、一部では上級機を超えるとの評価もあった。フォノ入力部にはダイレクト・コネクションが施されており、フォノ入力はシールド線を使わずに直接イコライザーに接続されていた。これによりシールド線の影響による高域の劣化を解決していたのだ。また、ハイカット及びローカットフィルターも搭載していた様に思う。
パワーアンプ部 ミュージックパワー(IHF):4Ωで140W(70W+70W) 8Ωで110W(55W+55W、1kHz)、 実効出力:8Ω・1kHzで両ch駆動時 80W(40W+40W) 片ch駆動時 80W(40W+40W)、20Hz~20kHz 両ch駆動時で70W(35W+35W)、高調波歪率(実効出力時、1kHz):0.05%(35W)、混変調歪率(1W出力時):0.4%、パワーバンドウィズス:20Hz~30kHz(35W、両ch、8Ω、THD 0.25%)、 周波数特性(1W出力時):5Hz~200kHz -3dB、 ダンピングファクター(8Ω負荷):30以上(20Hz~20kHz)、 負荷インピーダンス:4Ω~16Ω、 入力感度:1V
プリアンプ部 周波数特性:10Hz~50kHz ±0.5dB、 入力感度/インピーダンス:Phonoが2.5mV/47kΩ AUX・Tape Playが150mV/60kΩ、 S/N(IHF/RMS):Phonoが88dB/63dB AUXが102dB/83dB、 イコライザー特性(RIAA偏差):±0.5dB、 Phono最大許容入力(P-P/RMS):700mV/250mV、 録音出力レベル:PIN:150mV DIN:30mV、 トーンコントロール:SEA中心周波数:40Hz、250Hz、1kHz、5kHz、15kHz、 SEA可変範囲:±12dB、 フィルター:Subsonicが18Hz、6dB/oct Highが9kHz、-6dB/oct、 ミューティング:-20dB、 ラウドネス(Volume -30dB時):50Hzで+11dB、1kHzで+1.5dB、10kHzで+4dB、
総合・全体 使用半導体:トランジスタが28個 ダイオード他が6個、 電源:AC100V、50Hz/60Hz、 消費電力:90W、 外形寸法:幅420×高さ138×奥行333mm、 重量:10.5kg
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