【三日月ネコの日々是好日記】そもそも4月1日、エイプリルフール(April Fools’ Day)とは何なん‥‥? 〈1647JKI56〉

今日は4月1日、言わずと知れたエイプリルフールですネ。日本でも、最近では随分と定着してきて、誰もが罪のない嘘をついてもOKとされる日となっています。但し、嘘をついてもイイのは午前中までであり、午後にはその嘘の種明かしをしましょう、なんてルールがある様ですが、複数のアメリカの友人に聞いたら、そんなことは知らない、ドイツ人の友達もそんなことはない、と言ってましたけれど…。

この風習が日本に入ってきたのは、江戸時代(“不義理の日”と呼ばれた)とのことですが、広く知られたのは大正時代からだそうです。ですが、この嘘をついても大丈夫、とする風習は東洋の倫理観には馴染み辛い様子で、日本を始め中国大陸や朝鮮半島の国などにはなかなか定着しなかった、とも聞いています。今でも中国では共産党政府が快く思っていない、との話もあるようですが…。

ところで、意外なことに、その確かな起源は今もって全く不明だそうです。調べてみたところ幾つかの説があるようですので、以下に記してみました。

その1:1564年にフランス国王のシャルル9世が、1月1日から新年とする新たな暦を採用しました。それまでは3月25日を新年の始まり、つまり元日として、人々は4月1日には新年を祝う春の祭りを催していました。この祭りでは人々は互いにプレゼントを交換し合うという慣わしがありましたが、新暦への改訂後もこの慣習を続けるために、旧正月となった4月1日にユニークな品や偽物のプレゼントの交換をしたことが、エイプリルフールの由来ではないかとされています。

またより過激な話としては、暦の改訂に反発した民衆が、4月1日を「噓の新年」と称して馬鹿騒ぎを始めました。そこで、自らの方針に反した行動に直面したシャルル9世は、この「噓の新年」を祝っていた人々を逮捕し投獄、度が過ぎた者を処刑してしまいました。しかしこうした王の暴政への抗議と、この悲劇的な事件を忘れない為に、フランスではその後も毎年4月1日になると盛大に「嘘の新年」を祝うようになりますが、これがエイプリルフールの始まりであると云うのです。

その2:かつて、インドの修行僧は毎年春分の頃から3月末までの間、厳しい座禅行をしていましたが、寺院では4月1日(3月31日説もあり)に修行を終えて悟りの境地から俗世に戻って来た僧たちに、“揶揄節(やゆせつ)”と称した行事を行っていました。それはこの日に修行明けの僧を無用な使いに走らせて面白がったりして、俗世への帰還と修行の成就を互いに確認したのでした。過酷な修行が終わった時に、ほっとして人をからかったり、悪戯をしたりするという楽しい日だったのではないでしょうか…。そしてこの行事が後にヨーロッパに伝わり、広まったのではないかとされています。

その3:大洪水から箱船で逃れることに成功したノアは、陸地を探す為に船から鳩を放ちましたが、その鳩は何も見つけることなく無駄足で船に戻って来ます。そしてその日が4月1日だったことから、4月1日が“敢えて無駄なことをする日”となったという説です。

その4:古代ローマでは、毎年4月1日に主人と奴隷が入れ替わったり、道化師が聖職者に扮したり、互いに立場を入れ替えては遊び、楽しんでいたことが由来との説があります。

その5:4月1日はキリストの命日ですが、キリストがユダに裏切られたことを忘れない為に、キリスト教信者の一部がこの日をエイプリルフールという特別な日としたという説です。

その6:イングランドの王政復古の記念祭である“オークアップルデー(Oak Apple Day)”を由来とする説があります。チャールス2世がクロムウエルの追求から逃れた時、オークの木に隠れて助かったことから、かつての英国ではこの日(5月29日)はオークアップル(Oak Apple)を上着のボタンに刺して、国王に忠誠を誓うという習慣がありました。

但しそれは午前中だけのことであり、午後はオークアップルを外すことが許されていたそうで、その習慣がエイプリルフールの午前中だけの時間制限の理由であるともされているのです。そして、こうした風習にフランスの習慣が伝わって合わさった結果が、現在のエイプリルフールに繋がったと云われます。ちなみに英語の “April fool” は、4月1日に騙された人のことを指し、エイプリルフール(4月1日)はこの人々の日といった意味になります。

 

少し前まで、エイプリルフールは日本語ではよく“四月馬鹿”などの直訳表現をしていましたが、フランス語では“Poisson d’avril(4月の魚)”と呼ぶそうです。

これは、子供たちが紙に書いた魚の絵を他人の背中にこっそり張り付ける悪戯のことで、その人が魚の絵に気づくと皆でからかいます。

そして一説にはこの場合の「4月の魚」とは鯖(サバ)のことを指すとされ、ちょうどこの時期に鯖がよく獲れる為にこう名付けられたとの説がありますが、有力な異説には、かつて4月頃から魚が産卵期に入る為に4月初旬からしばらくは漁獲が禁止されていました。そこで人々は漁獲期の最終日である4月1日に一匹も魚が獲れずに帰って来た漁師をからかって、用意しておいた鰊(ニシン)を水面に投げ込んで釣らせたのが、この同僚や友達同士で嘘をつき合ったり、悪戯をし合ったり等のジョーク合戦の日の始まりだと伝えられています…。

-終-

 

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