ヘルメスの7つの原理「極性の原理」(1)/atn

「すべてのものに二面性があります。すべてのものに極性があり、対をなします。「好き」と「嫌い」は同じです。反対側にあるものの本質は同じであり、度合いが異なるだけです。両極端は一致します。すべての真理は、片側にすぎません。どんなパラドックスでも、調和することができます。」

ヘルメスの第四の原理 「極性の原理」は、すべての物事に二つの側、二つの面、二つの極、二つの対があり、間に多くの度合いがあるという真理を現しています。

人の心を悩ませてきた古いパラドックスは、この原理を理解することによって説明されます。

人はいつもこの原理と似た何かを認識し、ことわざや格言によって次のように表現してきました。 「逆もまた真なり」 「すべての真理は片側にすぎない」「真実の半分は虚偽である」「すべてに二つの側面がある」「すべての盾に裏側がある」などです。

互いに正反対のように見えても、その違いは単に「度合い」の問題でしかないというのが、ヘルメスの教えです。

「反対でも調和できる」、「テーゼとアンチテーゼも本質は同じで、度合いが異なるだけ」であり、極性の原理を知れば、対立に普遍的な調和をもたらすことができると教えています。

ヘルメス学を教える者たちは、原理の実例はあらゆるところにあり、どのようなものでも本質を調べれば得られると説きます。

精神と物質は同じものの両極であり、中間にある各レベル(※)が振動の度合いであることを示すことから始めます。

(※照応の原理・概要編で触れたとおり、ヘルメス学では宇宙を「物質」「意識」「精神」の三つの世界(レベルと言ってもよいでしょう)に分けて考えます。それぞれの世界は異なる周波数で振動しており、精神世界の周波数が一番高く、物質界が一番低いとされます。)

彼らは、ジ・オールと多くのものが同じであり、違いは単に心の表れかたにすぎないことを示します。法と法則も一つのことの両極とされ、原理と原則、無限の心と有限の心も同様です。

物理レベルにおいても、暑さと寒さが本質的に同一であることを示すことで原理を説明します。違いは単なる度合いの問題です。温度計は多くの温度を示し、最も低い極が「低温」と呼ばれ、最も高い極が「高温」と呼ばれます。

これら二つの極の間には 「暑さ」または 「寒さ」の多くの度合いがあり、どちらで呼んでも等しく正しいのです。二つの度合いのうち高い方は「より暖かい」、低い方は「より寒い」となります。

絶対的な基準はなく、すべては度合いの問題です。暑さが終わり、寒さが始まる場所などありません。

すべて振動数がより高いか、またはより低いかの違いです。比較のために「高い」と「低い」という言葉を使いますが、同じものの度合いに過ぎず相対的なものです。

「東と西」も同様です。東の方向に世界中を旅をすれば、いずれあなたは出発したときに西と呼んでいた場所に達し、東に戻ります。北に十分進めば、あなたはあなた自身が南に近づいていることに気づくでしょう。(※)

(※北極点に向かって進めば南極点から遠ざかるように思えますが、見方を変えれば球面上を進めば進むだけ、もとの地点に近づくことになります。)

「光」と「闇」は同じものの両極です。間には多くの度合いがあります。音階も同じで 「ド」から始まって次の 「ド」に達するまで移動し、その後も繰り返します。両端の鍵盤は同じもので、2つの間にたくさんの度があります。

色の階調も同じです。振動数の高低が「紫」と「赤」の唯一の違いです。「大」と「小」は相対的です。「騒がしい」と「静か」、「硬い」と「柔らかい」も同様です。「鋭い」と「鈍い」、「ポジティブ」と「ネガティブ」も同じことを表す2つの極であり、間には数えきれないほどの度合いが存在します。

善と悪も、絶対的なものではありません。用語の使用に応じて、スケールの一方の端ともう一方の端を「良い」「悪い」、あるいは「善」「悪」と呼びます。

「少し悪い」ことも、その「悪い」ことはその次に悪いことよりも「良い」ことであり、「多い」「少ない」もスケール上の位置によって決まります。

心の面でも同じことが言えます。 「愛」と「憎しみ」は一般に、互いに正反対で相入れないものと見なされています。しかし極性の原理に照らしてみると、明確に区別できる絶対的な愛や憎しみは、存在しないことがわかります。

次回に続きます。

 

 

 

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