日本の鉄道博物館訪問シリーズ 第10回  京都鉄道博物館その3 電車・客車編〈17/38TFU03〉

京都鉄道博物館。蒸気機関車をたっぷり紹介した後に続く今回は、客車・電車編です。新旧の食堂車あり、新旧の寝台車あり、新幹線あり。保存状態も展示方法も実に工夫された館内。生活の足としてお世話になった車両や、一度は乗りたかった憧れの車輛まで。すべてお届けします。(写真はすべて筆者撮影)

マロネフ59 1

戦前に製造された皇室・貴賓客用の寝台客車で、1・2等の合造車です。1938年、鷹取工場製。1938年にマイロネフ37290形として製造されたのちの14号御料車と同形式車(マイロネフ37292)で、皇族専用車両として製造されましたが複数の形式変更を経てマイロネフ38形1号車となりました。そして1955年7月の級制改正によりマロネフ59形となりました。車内は外からのぞけますが、木目の美しい重厚な車内でした。

 

スシ28 301

戦前に製造された食堂・2等座席の合造車から改造した食堂車。1933年、日本車輌製造製。現役時代はスハシ38形3等食堂合造車102号車でした、廃車後すぐに当時の交通科学館で食堂として使用する際に3等客室部分も食堂スペースとして改造の上、形式もスシ28形に変更され車番は架空の301号車とされました。交通科学館の開館から実際に、食堂として利用されていました。

 

ナシ20 24

20系寝台特急の食堂車として活躍しました。20系の食堂車は廃車後に、民間に売却され、食堂やレストランなどで再利用された仲間もいましたが、ボロボロになりほとんどが破棄されました。 なんと車内では、食事ができます。弁当の他、ビールやジュースなども販売されていて、車窓を眺めながらちょっとした旅行気分が味わえます。

 

オロネ24 4

1973年製。寝台特急「あかつき」「彗星」などで活躍したプルマン式のA寝台車です。オリジナルのブルートレイン色で残り、車内は寝台がセットされています。

 

スシ24 1

寝台特急「トワイライトエクスプレス」用として改造された食堂車。調理室の窓から、調理室が見られることに注目です。現役時代は、そんなにじっくり見られませんでした。車両は電車特急のサシ489から改造されており、キノコ型の大きなクーラーが特徴的です。

 

スロネフ25 501

1989年に登場した寝台特急「トワイライトエクスプレス」のA個室車両です。オハネ25寝台車からの改造車。「スイート」1室と「ロイヤル」4室の客室を備え、特に「スイート」は眺望のための大きな窓があり、当時は北斗星よりも豪華でした。

 

オハ25 551

1977年、富士重工業製。トワイライトエクスプレス第1編成のサロンカーです。オハネ15からの改造車で、大窓と車窓に向いたシートを配した「サロン・デュノール」に使用されていました。

 

カニ24 12

寝台特急「トワイライトエクスプレス」専用の電源車で荷物室を併設しています。電源車が保存されているのがファンとしては嬉しいところです。いつの日か、特別にトワイライトが復活運転することがあっても、この車両がいれば安心です。車両の横にはステップがあり、上ると屋根上を見ることができます。

 

オハ46 13

急行用客車を軽量化した客車で、国鉄末期まで活躍しました。1955年、汽車製造製。現役時代は米トリ(西鳥取運転区)に所属して 山陰本線(京都~米子間)や倉吉線などで活躍しました。

 

 

0系新幹線は4両。ここも中間車が保存されているのがいいですね。ホームに止まっている現役時代を彷彿とさせます。各形式のトップナンバーを付した4両は、約600万kmを走行した後、1978年3月に引退しました。

 

21形1号車

開業時に活躍した0系新幹線電車の先頭車。

 

16形1号車

東海道新幹線開業時に活躍した0系新幹線電車のグリーン車です。黄色のシートが懐かしいです。ドアの縁取りのゴールドのモールも、特別車両の証です。

 

35形1号車

ビュフェスタイルの食堂車です。1970年代のビュッフェはいつも混んでいて、子供心にいつも憧れでしたが、のちに食堂車が作られると、車販の準備室のようにむなしくカウンターのみがぽっかりと残っていました。

 

22形1号車

こちらの先頭車は現在、展示室となっています。

 

500系新幹線 (521形1号車)

当時世界最速の時速300kmでの営業運転を実現した新幹線電車です。521形制御電動車1号車は 1996年、川崎重工業製です。この車両はW1編成の博多方先頭車でした。廃車後、博多総合車両所で保管されていた車両です。

 

クハネ581 35

1968年、日立製作所製。JR西日本吹田総合車両所京都支所に所属していましたが、2015年2月車籍抹消となり、収蔵されました。筆者は秋田で2017年4月8日に583系のラストランを見送って以来の電車寝台との再会です。やはり存在感が違います。車内は寝台と座席の両方がセットされています。

 

クハ489 1

これは美しい保存車両!こんなにきれいなボンネット型の特急用交直流電車は見たことがありません。ワクワクします。1971年、東急車輛製造製。西日本金沢総合車両所に所属していましたが、2015年2月で車籍抹消されました。

 

100系新幹線(122形5003号車)

1989年、日立製作所製。100系新幹線電車の東京方先頭車です。元はJR西日本のV編成「グランドひかり」に使用されていましたが、短編成化改造された際に元番号に2000が加算され5003号車となり、K54編成として100系最後まで使用されました。こちらも廃車後に博多総合車両所で保管されていた車両です。展示場所が奥なので、ちょっと見ずらいですが美しい保存状態です。

 

 

クハ86 1とモハ80 1

戦後初の長距離電車として登場、東海道本線や山陽本線で活躍しました。「湘南色」と言われるオレンジとグリーンのカラー。ぜいたくを言えば、「湘南顔」の2枚窓の正面を持つ電車も保存してほしかったのですが。車内外とも美しく保存展示されています。先頭車だけでなく、中間車も保存されているのがいいですね。

 

クハ103 1

1964年に登場した国鉄を代表する通勤型電車です。1964年、日本車輌製造製。2011年3月30日に廃車となった車両で廃車後は吹田総合車両所に保管されていました。保存にあたって、阪和線のスカイブルーから大阪環状線のオレンジバーミリオンに塗装が変更されました。大都市圏ではおなじみだった通勤電車の顔です。

 

電車も客車も、状態が抜群です。特に500系新幹線、583系特急電車、489系ボンネットの並びは、鉄道ファンならずとも「カッコいい!」と歓声があがっていました。子供は駆け寄り、年配のファンは懐かしみ、海外からの旅行客も「シンカンセン」の前で、盛んに写真を撮っていました。屋根上も見られて、鉄道模型ファンにも大いに役に立つ展示方法だと思います。次回は、電気機関車・ディーゼル機関車・気動車や貨車など京都鉄道博物館の残りの車輛たちを紹介します。

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