【Jazz フェイバリット・ピアニスト 名盤この1枚】 その〈1〉 トミー・フラナガン 〈JKI00〉

トミー・フラナガン/Tommy Flanagan (トマス・リー・フラナガン/Thomas Lee Flanagan)は、1930年3月16日に米国のデトロイトで生まれました。父はギタリスト、母はピアニストという音楽一家出身の彼は、5歳でクラリネット、11歳でピアノを始めます。1945年に若干15歳でプロ・デビューを果たし、デクスター・ゴードンやミルト・ジャクソンのグループで演奏を経験します。

この人は、サイドマンとして優れた働きをしたピアニストで、「名盤請負人」と云われてマイルス・デイヴィスのグループにも短期間ですが参加、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』やジョン・コルトレーンの『ジャイアント・ステップス』、ケニー・ドーハムとかアート・ペッパー、そしてウェス・モンゴメリーのアルバムでも好演を披露しています。後には、エラ・フィッツジェラルドの伴奏者を長く(1963年から1965年、及び1968年から1978年まで)勤めました。

その後も常に高いレベルを維持しながら、1990年代の後半までは第一線での活躍を続けましたが、2001年11月16日、ニューヨーク市マンハッタン区のマウントサイナイ病院において、動脈瘤による合併症の為に亡くなりました。享年71歳。

さて、彼のリーダー作から「この1枚」を選ぶとしたら、ベーシストのウィルバー・リトルやドラマーのエルヴィン・ジョーンズと共に結成したトミー・フラナガン・トリオの、1957年録音のアルバム『オーバーシーズ /Overseas』がやはり唯一無二の傑作。勿論、エルヴィン・ジョーンズの存在も大きいと思われますが‥。

時に“女性的なハンク・ジョーンズ”と揶揄されていた彼が、常日頃よりも男性的で果敢に鍵盤と向き合った感のあるこのアルバムでは、やはり極端な特徴や強烈なインパクトはないものの、音楽的に端正な姿勢を貫いたその演奏スタイルはリズミックで心地良く、また力強くスウィングしたプレイだけではなく、リリカルで叙情的な演奏でも魅せてくれます!

尚、優れた助演盤としては、マイルスの『コレクターズ・アイテムズ』と既述のロリンズの『サキソフォン・コロッサス』を挙げておきます‥。

〈了〉

 

《スポンサードリンク》

投稿者: 准将

何にでも好奇心旺盛なオジサン。本来の職業はビジネス・コンサルとマーケッター。興味・関心のある分野は『歴史』、中でも『近・現代史』と『軍事史』が専門だ。またエンタメ系のコンテンツ(音楽・映画・ゲーム・マンガなど)には仕事の関係で随分と係わってきた。今後のライフワークとして儒学、特に陽明学を研究する予定である。kijidasu! 認定投稿者第一号でもある。