【Jazz フェイバリット・ピアニスト、名盤この1枚】 その〈10〉 シダー・ウォルトン/Cedar Walton 〈JKI00〉

シダー・ウォルトン/Cedar Waltonは、1934年1月17日に米国テキサス州ダラスで生まれました。ピアノを始めたのは高校時代であり、この時代のシャズ・ミュージシャンとしては遅いスタートでしたが、21歳の時、1955年にはニューヨークとへ進出、その後、2年間ほど兵役で過ごした後にケニー・ドーハム/Kemmy Dorhamのコンボに加わり積極的な音楽活動を始めました。

以後、アート・ファーマー/Art Farmer&ベニー・ゴルソン/Benny Golsonのジャズテット/The Jazztetやジョン・コルトレーン/John Coltraneの『ジャイアント・ステップス/Giant Steps』の録音にも参加しました。

1962年から1964年にかけてはアート・ブレイキー/Art Blakeyのジャズ・メッセンジャーズ/Jazz Messengersへ加入。ウェイン・ショーター/Wayne Shorter、フレディ・ハバード/Freddie Hubbard、カーティス・フラー/Curtis Fuller、レジー・ワークマン/Reggie Workmanらと活動を共にします。

1964年にジャズ・メッセンジャーズを脱退後は様々なミュージシャンと共演しており、サム・ジョーンズ/Sam Jones、ビリー・ヒギンス/Billy Higginsらと来日も経験しています。

また我国のミュージシャンでは、渡辺貞夫、笠井紀美子、山本剛や鈴木勲らと共演しました。

以降も長年にわたりジャズ・シーンで活躍しましたが、2013年8月19日にニューヨークの自宅で死去しました。

尚、ウォルトンのどの様な打鍵をしても音の美しさが崩れない素晴らしいタッチは、“ジャズ界のショパン”とか“鈴の音”と形容され、同時代のジャズ・ピアニストの中でも格別とされました。

さてこの人の代表作としては、『シダー!/Cedar!』(プレスティッジ、1967年の録音)を挙げたいと思います。ウォルトンの初のリーダー・アルバムですが、フロントにはトランペットにケニー・ドーハム、テナー・サックスにジュニア・クック/Junior Cookを迎え、ベースにはリロイ・ヴィネガー/Leroy Vinngar、ドラムスにビリー・ヒギンス/BILLY HIGGINSを配したクインテット編成。ウォルトン以下のメンバーが溌剌とした演奏で正統派ハード・バップを繰り広げるこのアルバムは、楽曲の良さも評価されている快作です!

他には、『イースタン・リベリオン/Eastern Rebellion』(タイムレス、1975年録音)がおススメ盤です。ウォルトンがジョージ・コールマン/George Coleman (ts)、サム・ジョーンズ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)と結成したユニット”イースタン・リベリオン”の初作品で、コールマンにインスパイアされたウォルトンのスウィンギーなプレーが光ります。また他者のリーダー作ではレイ・ブラウン/Ray Brownの『サムシング・フォー・レスター/Something For Lester』でのウォルトンの演奏が素晴らしく、それに輪をかけてエルビン・ジョーンズ/Elvin Jonesのタイコが好演です‥。

端正かつ繊細ですが妙な癖がなく、あまりにも素直なスタイルが却って損をしている印象が拭えない彼のことを、私は“凡庸なる天才”と呼んでいます!

〈了〉

 

《スポンサードリンク》

投稿者: 准将

何にでも好奇心旺盛なオジサン。本来の職業はビジネス・コンサルとマーケッター。興味・関心のある分野は『歴史』、中でも『近・現代史』と『軍事史』が専門だ。またエンタメ系のコンテンツ(音楽・映画・ゲーム・マンガなど)には仕事の関係で随分と係わってきた。今後のライフワークとして儒学、特に陽明学を研究する予定である。kijidasu! 認定投稿者第一号でもある。