【オーディオ・ファンだった僕の憧れの名機】JBL 4343 〈JKI24〉

1970年代、オーディオ趣味は好きな音楽ジャンルの再生を目的としていると教えられていた私は、インスト系のモダンジャズを中心にハードなロックやポップス全般を対象としたオーディオ・システムを(想像の世界で)度々、設計しては組合せていました。その当時、こうした音楽ジャンルにおけるスピーカー分野に関して、頻繁にトップクラスのリファレンス機として(例えばスイングジャーナル誌などに)登場していたのが、JBL 4343でした。

我国では、大変高額の本来はプロユースの同機が、個人購入の自家用スピーカーとして万を超える販売数を誇ったと云います。そしてその位、一大ブームを巻き起こした人気のスーパーSPだったと記憶しています。また私もこの巨人機を四畳半の和室に鎮座させて、周囲の迷惑も顧みずに大音量でレコードを鳴らしていた先輩会社員を知っていました‥‥。

しかし現実には、その4ウェイ&マルチアンプ駆動を想定した作りから、巧く鳴らすのが難しいモデルとも云われていました。低域に38cmウーファーJBL 2231A、中低域は25cmミッドウーファーJBL2121を搭載し、中域はドラーバーJBL2420にホーンJBL 2307+音響レンズJBL 2308組み合わせ、高域にはトゥイーターJBL 2405を搭載していますが、内蔵ネットワークによるドライブ以外に背面スイッチの切替によって300Hzにおける2チャンネル・マルチアンプドライブが可能でした。外観は2種類のバリエーションがあり、モニタータイプの4343はグレー仕上げとブラックグリル、4343WXはウォルナット仕上げとブルーグリルが採用されていました。また因みに4343Bと言われる製品は、ユニットがアルニコからフェライトに変更となった4343の後継型のことです。

このスピーカーは、折角、大枚はたいて購入してからが大変で、調整作業が延々と続いたと話してくれた知人がいましたが、ベストセッティングに辿り着いたJBL4343は、JBLのSPが伝統的に不得手としたクラシック音楽をも克服して、幅広い音楽ジャンルに対応した究極の優等生タイプとして素晴らしい音を聴かせてくれたそうです。そしてこのスピーカーは、とにかく音の抜けの良さが抜群で、更に加えて骨太で力感溢れる低音が特徴であり、そのダイナミックなサウンドに酔いしれたリスナーが多かったのも確かでした。

さて結局この4343は、コストの問題とその大きさ、特に80kgを超える重量などから、我家にはほとほと縁遠かったみたいですが、何と云っても実にカッコいい憧れのスピーカーであったことは事実であり、今でも手に入れてみたいSPのひとつではあります!

〈了〉

 

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