本来、『エシカル(ethical)』とは「倫理的な」「道徳上の」という意味ですが、最近では「環境保全や社会貢献に配慮する事」という意味合いが強まっています。 そんな近年のエシカルな考え方に基づいたファッションについて、紹介します・・・。
エシカルethicalの概念は、地球や自然環境との調和とか融合を重んじる価値観であり、そこにあるものは、自然の摂理を尊重し地球上に暮らす他者全般を想いやり、互いの協調と共生を目的としたライフ・スタイルといえるでしょう。一部の信奉者にとってはある意味で、一種の美意識ともなっています。
エシカル・ファッションとは
エシカル・ファッションとは、端的に言えば、環境保全や社会貢献に配慮した良識を踏まえて製造、流通、販売されているファッションのことです。
即ち、地球環境に負の影響を与えない自然素材やオーガニックな素材、アップサイクル(リサイクル)素材などを材料として、公平な労働条件のもとで公正な取引(フェアトレード)により製造されたものであり、世界各地の地域毎の伝統的な技法や製法を活用しながら創作されるファッションのことです。
エシカル・ファッションで真に重要なことは、デザインに優れるとともに高品質であることが挙げられます。エシカルの概念に興味・関心があり、その考え方に賛同する人々のみならず、エシカル的な発想を持たない、純粋にファッションを楽しんでいるだけの顧客にも受け入れられるものでなければなりません。
また環境保全に関しては、エコ・ファッションは地球の環境に配慮したファッションですが、エシカル・ファッションはエコ的な環境への配慮をも包含した上で、地球上の各地に住まう多くの人々やその文化にも配慮した総合的な想いやりの概念に立脚したものなのです。
更に社会貢献については、フェアトレード(公正取引)が重んじられます。フェアトレードとは、発展途上国などの立場の弱い生産者に対して、公平な条件での貿易取引を実施して産業振興や経済的成長を促すことで、児童の労働や貧困問題の解消、その国の伝統・文化、自然環境等を守ろうとする取引活動のことです。つまり、生産から流通過程での道筋・透明性(トレーサビリティ)を高め、強者の搾取を阻み、弱者を救済しようというのがフェアトレードなのです。
エシカル・ファッションの成立要因は以下のようなものです。
・素材の選定(オーガニックコットン、リサイクルコットンなど)
・素材の調達(発展途上国からの仕入・購入など)
・製品の製造(天然染料での染色など)
・製品の流通(フェアトレードによる買付けなど)
更に、エシカル・コンシューマリズムといって、当該の製品を購入する消費者にとって環境や社会に貢献しているという意識が高くなり、エシカルの考え方が、買物・ショッピングという行動に正義感と充足度をもたらします。その為に、購入時の顧客満足度が大幅に上昇します。そこで現在、世界の有力ファッション・ブランドがその効果に大いに着目しているのです。
既に世界各国では、エシカル製品を中心にしたファッションショーなどが開催され、ファッション・メディアでも多く取り上げられて消費者の反響を集めています。我が国ではまだまだその市場は大きいとはいえませんが、エシカルのコンセプトにたったブランドが徐々に注目されてきました。
ファスト・ファッションでもラグジュアリー・ブランドとも異なる、単なる流行ではない新たなファッションの進むべき有力な道の一つがエシカル・ファッションなのです。
エシカル・ファッションは購入で終わりません。着用し使用する時の心持ちが重要なポイントとなります。その製品・アイテムの由来には何等(なんら)かの物語(ストーリー)があり、そのアイテムを大切に長期間にわたり使いたい、という想いや姿勢がエシカルのコンセプトに沿うものなのです。
その高いデザイン性や品質の良さに魅かれて選んだファッション・アイテムが、結果的にエシカルなものであれば、地球の未来は明るいでしょう。
そして、このエシカルという概念は、ファッションに限らず、美容や健康と日々の食事・食品、子供たちへの教育、住まいや街創りに関わる建築など、様々な学問や各種の事業分野にも大きな影響を与え始めています・・・。
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