今年12月の、小惑星探査機『はやぶさ-2』の打ち上げが近づいてきました・・・。
この夏(8月頃)に予定されている、探査機の完成を楽しみにしている宇宙ファン? も多いでしょうネ。
そこで、改めて『はやぶさ-2』をご紹介することにしました。
世界で初めて、幾多の苦難を乗り越えて小惑星からの物質を地球に持ち帰り、大いに注目されたのが小惑星探査機『はやぶさ』でした。
この『はやぶさ』の後継機で、今年(2014年)12月に種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケットでの打ち上げを目指しているのが『はやぶさ-2』で、現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発・組み立てと機能試験を進めています。
今回のミッションでは、小惑星内部の物質を採取する計画で、生命の起源の謎に迫る世紀の探査に、世界的にも大変な期待が集まっています。
尚、目的地の小惑星までの直線距離は最長で約3億キロですが、地球の重力を利用して加速するため遠回りとなり、往復で数十億キロに及ぶ約6年間の長い旅路となります。
『はやぶさ-2』のミッションは、『はやぶさ』と同様に小惑星からの物質を地球に持ち帰るというサンプルリターン・ミッションが中心ですが、探査する対象の小惑星が異なります。
前回の『はやぶさ』が探査した小惑星「イトカワ」は、S型と呼ばれる岩石質の小惑星でしたが、今回、『はやぶさ-2』が目指すのは炭素系「1999 JU3」というC型の小惑星です。C型も岩石質という点では同様ですが、表面の物質には有機物や水分がより多く含まれていると考えられています。そして小惑星「1999 JU3」は、「イトカワ」と似た地球軌道に接近する軌道にある小惑星であり、大きさは900m程度の球に近い形状をしています。もちろん現実に水や有機物が見つかれば、生命誕生にもつながる重要な発見となります。
【スケジュール】
2014年度 |
遅くとも12月までに打上げの予定。
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2018年 |
6月、目的地の小惑星「1999JU3」に到着。この後、約1年半にわたり探査・観測を実施。
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2020年 |
2019年の年末には「1999JU3」を離れ、採集カプセル、地球へ向けて帰還の航行へ。
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2020年~ |
各種観測データ、採集物・サンプルなどの解析・分析作業を行う。
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小惑星探査機『はやぶさ-2』は、前回の『はやぶさ』の経験を活かしてより確実に太陽系内の天体往復探査が行なえる様に、各種技術のレベルアップを目指して開発・製作されてきました。
前回の『はやぶさ』ミッションでは、エンジン故障や通信途絶などのトラブルが続発しました。これらの反省から、今回は多くの改善策を実施しているといいます。
具体的に前回ミッションでの教訓と取り入れたものとしては、故障した二つの姿勢制御装置の内、リアクション・ホイールは万一に備え3個から4個に追加してあります。また、ガス・ジェットのシステムも高性能のモノに一新しました。航行エンジンは今回もイオン・エンジンですが、推力のレベル、そして信頼性や耐久力も向上させています。
通信用のアンテナは前回のパラボラ・タイプではなく、金星探査機『あかつき』で実績のある平面型のアンテナ2枚タイプに変更しています。XバンドとKaバンドを備え非常に機能的になりました。
宇宙航空研究開発機(JAXA)によると、この様に各機器とも格段に信頼性の向上が図られています。
また、この探査行の最大のハイライトは、小惑星内部の物質採取といえましょう。
サンプルの採取機構には、新たに小惑星衝突装置インパクターが導入されています。『はやぶさ-2』は出来るだけ小惑星「1999 JU3」に接近し、衝突装置を探査機の底部から分離し、高度数百メートルで爆発させた上で衝突装置から銅製の弾丸の様なものを秒速2キロという高速度で地表面にぶつけ、衝撃により人工的に深さ数十センチのクレーターを作りだし、小惑星の内部構造や構成物質の状況などを探ります。
その後、探査機は発生したクレーターに接近して再び弾丸を発射します。そして底部にある筒状の収集装置で舞い上がった粒子等を取り込み、帰還用のカプセルに収めるという仕掛けで可能な限り(噴出した)地中内の物質を採取することに努めます。また、この作業の状況は同時に分離カメラで撮影もします。
地表付近の物質は、長年の宇宙線の照射や太陽光の影響を受けて変質していますが、上記の方法により、約46億年前の小惑星生成時の状態を保っている(地中内にあった)物質を採取するのが大きな目的なのです。
尚、前回の『はやぶさ』ミッションではプログラムのミスで弾丸発射に失敗し、ごくわずかな微粒子しか回収できませんでした。
また他の地表の観測方法に関しては、3機の小型ローバーの「ミネルヴァ-2」と、ドイツが開発した小型着陸機「MASCOT」を搭載しています。残念ながら、前回は観測用の小型ロボット1機の着地にも失敗しました。今回はこれを3機に増やすほか、ドイツが開発した1機も着地させ、地表を移動しながら撮影や物質の計測などを行う予定です。
尚、探査機本体はカプセル分離後、他の小惑星などに移動させることも検討されています。
絶体絶命と言われながら奇跡の帰還を果たした前回の『はやぶさ』は、多くの日本国民の感動を呼びました。
今回の『はやぶさ-2』は、前回の失敗点を乗り越えてより高い成果を上げ、見事雪辱を果たすことが出来るのでしょうか?? 是非、応援したいところです・・・。
-終-
【続報】小惑星探査機『はやぶさ-2』を載せたH2Aロケット26号機が12月3日の午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから無事打ち上げに成功しました。
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