先取りミュージック (5) 英語で唄うバンド HAPPY 〈12JKI18〉

HAPPY161d7bsOr-gL._SL500_AA300_現在の関西インディーズ・シーンを代表する三大英詞バンドと云えば、『The fin』と『Homecomings』と、今回紹介する『HAPPY』だろう。

中でもこの『HAPPY』は、最も明るくPOPな彩(いろどり)を感じさせるポップ・バンドのようだが、そこにはかつて彼らのアイドルであった60年代サイケデリック音楽特有の、何処となく翳りのある色調が巧みに見え隠れする様にも思うが・・・如何なものか。

 

『HAPPY』は、平均年齢20歳の幼馴染み5人組の京都出身バンドだ。

昨年(2013年)、「SUMMER SONIC 13」への出演をはじめ、『The Flaming Lips』や『PALMA VIOLETS』との共演や日本各地の大型音楽イベントへの出演を果たしたことをきっかけに、全国的に注目された。

また11月には、関西地区最大級の音楽コンテスト「eo Music Try 2013」で見事グランプリを獲得し、本年(2014年)、最も注目を集めるバンドのひとつとして大きな話題を集めている。

2014年3月3日、初の流通盤シングル「SUN」をTOWER RECORDS限定でリリースし、タワーインディーチャート初登場1位、総合チャートで3位を記録した。

収録曲「Lift This Weight」がMTV3月度HOTSEATとなる。3月12日からは、米国テキサス州オースティンで開催された世界最大の音楽見本市”SXSW”への出演も含めたUSツアーを敢行し、計8都市10公演に出演し各地で大盛況となった。

その後、シングル「Wake Up / Lucy」を6月9日にリリースし、1stアルバムの「HELLO」をこの8月6日に発売予定だ。

尚、現在のメンバーは全員京都府綾部市出身で、Vo. Gt.のAlec、Vo. Syn.のRic、Ba. Syn.のSyu、Dr. VoのBob、Gt. Syn.のChewの5人組である。

 

↓『Lift This Weight #hpy/HAPPY(MV)』 提供:Japan Happy

 

耳馴染みの良いメロディアスな楽曲にのせた英語の詞の印象は、伝統的な英国POPチューンを彷彿とさせるが、最近の若者には、逆に単なる懐メロには聴こえない新鮮さがあるのだろう。かなり完成度の高い楽曲ながら、意外にもどの曲も一瞬で口ずさめる懐かしさと親近感があるのも、ごく普通の、何処にでもいる(日本人の)若者たちが創り上げた音楽だからだろうか。

3人以上が交代で歌うヴォーカル・スタイルや、ギターのみならずシンセを多人数のメンバーが活用していることも特色となっている。そのローファイなシンセサウンドが意外とダンサブルでクセになるし、フレッシュでもあるのだ。

当然だが、どの楽曲も英語で唄う為にしっかりとした構成が為されており、細かな破綻も見られない。しかしライブパフォーマンスではその反動か、かなりハードなプレイ(演奏)も見せるらしい。

 

↓『Lucy #hpy/HAPPY(MV)』  提供:Japan Happy

 

バンドのメンバーは皆地元の顔馴染みだが、初めはVo. Gt.のAlecとBa. Syn.のSyu、そしてDr. VoのBobの3人でセックス・ピストルズやニルヴァーナをカバーしていたそうだが、その後、ドアーズのサウンドを再現したくてキーボード・プレーヤーのRicに参加を依頼、最終的にGt. Syn.のChewが加わり現在の姿となったという。

バンド名の由来は、元々は『JUNK FOOD』というバンド名だった。友人から気軽に『HAPPYでは?』と言われ、初めは真に受けなかったが(尊敬する『Justice』さえ大した意味もないし)「HAPPYもアリやん」と思い直し、即日『HAPPY』と改名したそうだ。

また、リーダーのAlecは、長い間60年代の洋楽サイケデリック・サウンドばかりを聴いていたという。その為、最近の音楽を知らなくて、『MGMT』とか『Justice』を聴いて衝撃を受けたそうだ。特に『MGMT』は今の時代にサイケをしっかりやっていて、びっくりしたと云う。

ちなみに、関西で仲の良いバンドは『BCC(Berserker Children Club)』と『thatta』くらいだそうだ(笑)。

 

『HAPPY』の音は、筆者が30年前にスタッフとして参加していたあるバンドの目指していた音楽性にそっくりで、そのサウンドが現実に今ここにあるというのは、ちょっと奇妙な感じがしてしまう。

英詞の軽快なPOPサウンドは聞き馴染みが良い反面、(英語を解さない日本人には)数曲も聴くと飽きられる恐れがは否めない、と当時感じていた。『HAPPY』が、国内マーケットに対して、英詞で聴かせるバンドの限界を打ち破れるか、行く末を見守りたい・・・。

実は、『フリッパーズ・ギターThe Flipper’s Guitar)』の全曲英詞の1stアルバムが発表された時には驚愕したものだったが・・・。しかし小山田と小沢健二という天才でも、アルバム3枚(全曲英詞は1stのみ)以降は続かなかったのだ。

-終-

 

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