中国海軍の『遼寧』に対抗する海上自衛隊の新鋭艦が『いずも』ということになるのだろうか?
答えはNOだ!
『いずも』は、あくまでヘリコプター搭載護衛艦(DDH)で所謂「空母」ではない。しかし素人目には「空母」そのものだが・・・。
ヘリコプター搭載護衛艦『いずも』 性能諸元
基準排水量 19,500t
満載排水量 26,000t強
全長 248m
全幅 38m
速度 30ノット
乗員 470名
搭載機 SH-60K 他 ヘリコプターのみ14機
↑SH-60K 哨戒ヘリコプター
本年(2013年)8月6日に進水した『いずも』は、設計段階ではヘリコプター以外の航空機の搭載も検討されたらしいが、実際には固定翼機を搭載せず、輸送艦・支援艦機能を強化した「空母」ではないヘリコプター搭載護衛艦としてデビューした。輸送能力はRo-Ro船機能を持ち、乗員以外に陸上自衛隊の兵員450名以上と73式大型トラック50台の輸送が可能で、他艦への洋上給油能力や病院船機能もある。
『いずも』は現在、海上自衛隊最大の艦艇であり、太平洋戦争中のミッドウェー海戦で最後まで奮戦した帝国海軍の航空母艦『飛龍』(基準排水量17,300t 全長227.35m)を上回る大きさであるが、その規模が大きく全通甲板を持った平甲板艦のためにか、中国からは事実上の「空母」として警戒され、なんと韓国のメディアは艦名の『いずも』が島根県の旧国名であるため「竹島奪回の意図」が秘められている、と批判したりもしている。
しかし現実には、全通平甲板艦ではあるが航空機運用だけではなく、人員・物資の輸送、揚陸、医療、指揮通信などの強化された機能・装備を活用して、災害救助、人道支援、揚陸作戦など、多種多様な任務に対応した「多目的艦」として運用されることになっている。
-終-
【続報】
2015年3月25日、海上自衛隊最大の艦艇となるヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が就役(引き渡し式が実施される)。
他の連載記事は こちらから ⇒ “「空母」を考える ”シリーズ
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