【訃報】 往年の名女優 “ザ・ルック” ローレン・バコールが死去!! 〈2370JKI00〉

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ハリウッドの大女優、ローレン・バコールが亡くなったそうだ。享年89歳。

『脱出』『三つ数えろ』『キー・ラーゴ』など、ハンフリー・ボガートと共演した初期の映画作品での彼女の存在感は格別だった。もちろん後年にも良作は数多くあるが・・・。

また、もともとは緊張を隠す為だったといわれる、あの上目遣いの独特の仕草ザ・ルック(The look)」は忘れられない。

 

往年の名女優、ローレン・バコールが8月12日朝(現地時間)、ニューヨークの自宅で死去したと報じられた。死因は脳卒中で、89歳だった。このことは、元夫の俳優ハンフリー・ボガート(以下、ボギー)の遺産管理関係者が米国メディアに伝えた模様だ。

ローレン・バコールは、そのクールな美貌とハスキーな声で人気を博した大女優。元々はモデルで、映画監督のハワード・ホークス夫人であるナンシー・ホークスがファッション誌ハーパース・バザーでのローレンを観かけて推薦し、19歳でホークス監督作品の『脱出』(1944年)で銀幕デビューを果たした。

ちなみに映画『脱出(To Have and Have Not)』は、アーネスト・ヘミングウェイの小説『To Have and Have Not(邦題:持つと持たぬと)』(1937年)を映画化したものだ。

その『脱出』で共演したハンフリー・ボガートと1945年に結婚した。その後、『三つ数えろ』(1946年)や『潜行者』(1947年)、『キー・ラーゴ』(1948年)などでもボガートと共演している。

以降、マリリン・モンローと共演した『百万長者と結婚する方法』(1953年)やロック・ハドソンロバート・スタックとの共演作品『風と共に散る』(1956年)など数々の映画に出演し、1960年代以降は舞台でも活躍し、『イブの総て』(1970年)のマーゴ役での好演などを含め2度のトニー賞を受賞している。映画では、アガサ・クリスティ原作の『オリエント急行殺人事件』(1974年)やジョン・ウェインの遺作である『ラスト・シューティスト』(1976年)、キャシー・ベイツと共演の『ミザリー』(1990年)などでの、助演ながらその演技がきらりと光る作品も多い。その後、1996年の作品『マンハッタン・ラプソディ』で(アカデミー助演女優賞にもノミネートされ)ゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞した。

2009年11月には、米国の映画芸術科学アカデミーが第82回アカデミー賞において、ハリウッド映画界への長年の功績を讃え、アカデミー名誉賞を彼女に贈った。

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ローレン・バコール

ローレン・バコール(Lauren Bacall, 本名: Betty Joan Perske)は、1924年9月16日にニューヨーク・ブロンクスにて、ユダヤ系ドイツ人及びルーマニア系ユダヤ人の移民家庭に生まれた。

5歳の時に両親が離婚して、以後、母親に育てられたという。10代以降はモデルとして働きながらアメリカ演劇芸術アカデミーで演技を学び、前述の通り19歳で映画女優としてデビュー。ちなみにイスラエルの大統領シモン・ペレスは従兄(いとこ)である。

私生活では1945年にボギーと結婚。一男一女をもうけ、25歳も離れた「年の差婚」であったがハリウッドでは「おしどり夫婦」として有名だった。1957年にボギーが癌で亡くなると、大物歌手のフランク・シナトラと交際し婚約したが結局は破局してしまう。その後、1961年には俳優のジェイソン・ロバーズと再婚したが、彼とも1969年には離婚している。尚、ロバーズとの間に生まれた息子サム・ロバーズは俳優となり、『アメリカン・ビューティー』や『A.I.』、『セックス・アンド・ザ・シティ』等に出演し、ブロードウェイでも活躍している。

また1979年に刊行された自伝『ローレン・ バコール/私一人』はベスト・セラーになり、1980年に全米図書賞を受賞した。

尚、米国では2005年に公開された宮崎駿監督のアニメ映画『ハウルの動く城』の英語版吹き替えにも「荒地の魔女」役の声優として出演している。(日本語版は美輪明宏!)

彼女の特徴となる低音のハスキーボイスは、意図的に作った声であったそうだ。そして『脱出』のスクリーン・テスト中に緊張し、震えを隠すために取ったポーズが後に「ザ・ルック(The look)」と呼ばれることになり、これまた彼女の魅力となったことには既に触れた。

ボギーの共演者といえばイングリット・バーグマンを思い浮かべる人が多いだろうが、ローレン・バコールはよりボギーの相手役としてピタリとハマった。(1作品に限った場合、筆者は『アフリカの女王(The African Queen』(1951年)でのキャサリン・ヘプバーンを推したいところだが・・・)

普通のハリウッド女優とは違い、翳りを帯びて斜に構えたところがあるのが特徴で、明るくノーテンキに声を張り上げる米国型女優というよりは、低音で落ち着いた語り口調の欧州型女優とでもいえよう。

たぶん、欧州型という意味でイングリット・バーグマンと近似した何かがあったのだ。しかし時として柔らかな笑みを浮かべるバーグマンの場合は、ボギーに「守られる女」であったが、常に上目使いで見返すバコールのそれは「対等の女」だったと思う。そしてそこが、ぶっきらぼうでぼそぼそと喋る元祖ハードボイルド役者ハンフリー・ボガートの演技と独特の緊張関係を創り出し、ある意味よく調和していたのだ。まさしく彼女は、ハスキーボイスのクール・ビューティー、かっこいいハードボイルド女優だった。

 

ローレン・ バコールの訃報に接した海外メディアは、その独特な上目使いとハスキーボイスで人気を集めた彼女を「ハリウッド黄金時代を象徴する大女優」として、その死を速報で伝えている。 

もし貴方(あなた)がまだ、ローレン・バコールの出演映画(特にハンフリー・ボガートとの共演作品)を観ていないのならば、この機会に是非、鑑賞して欲しい。ハリウッド黄金時代を代表するスターの姿は、今の若い人が見ても新鮮に映るハズである!!

-終-

 

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