目黒雅叙園が、森トラストに買収される。
現在は外資系ファンドの傘下だが、これで日本資本のもとに復帰だ。
今後しばらくは、2020年の東京オリンピック開催を控えて、首都圏の宿泊や催事施設、オフィスビルなどの売買が活発になりそうである。
森トラスト株式会社(東京・虎の門)はこの8月末、オフィスビルやホテル・結婚式場などで構成される複合施設『目黒雅叙園』(東京・目黒)を、米国の投資ファンドのローンスター社から買収することで合意したようだ。買収金額額は総額で約1,300億円程度とみられている。
『目黒雅叙園』のほぼ全て、すなわち土地(約3万7千平方メートル)と敷地内にある五つの建物(延べ床面積約15万平方メートル)を森トラストは取得するとしている。その中にはオフィスビル「アルコタワー」(地上19階建て)を始め、チャペル棟「ヴィラ ディ グラツィア」、店舗棟「アルコスクエア」などが含まれている。
『目黒雅叙園』のオフィスビル棟には、アマゾンジャパンやポルシェジャパン、ウォルト・ディズニー・ジャパンなどの有力海外企業の日本法人が多数入居しており、ほぼ満床に近い状態だという。JR山手線の目黒駅近くで交通の便も良い。
ローンスター社は、2000年代前半に『目黒雅叙園』を買収したが、その後、リーマン・ショック等を経ながら、幾度か売却を試みながらも成約には至らなかった。しかし、今般、ローンスター社から優先交渉権を得ていた森トラストは、今後も都心にある土地の価格が上昇傾向にあると判断し、『目黒雅叙園』の獲得に踏み切ったようだ。
8月下旬には、シンガポール政府投資公社(GIC)が東京駅前の大型ビル『パシフィックセンチュリープレイス丸の内』(東京・千代田)を買収する方針で最終調整に入ったという。また『ティファニー銀座ビル』(東京・中央)をソフトバンクの孫正義社長が約300億円強で購入している。
三鬼商事株式会社(不動産仲介)によると、オフィスビル賃貸も好況傾向にあり、都内の主要5区のオフィス空室率が7月では6.2%と、前年同月比で2.09ポイントの改善となっているそうだ。またオフィスの平均賃料についても、同1万6,663円(3.3平方メートル)と、2.1%の上昇となっているという。
この『目黒雅叙園』の買収劇も、いよいよ2020年の東京オリンピックの開催を控え、不動産市況が活況に転じてきている証なのであろう。
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