次回(9月29日~)のNHK連続テレビ小説は、従来のものと比べて少々趣向が変わっているようだ。
女性ヒロインだけに比重がかかったストーリーではなく、以前にも増して夫である男性にスポットライトを浴びせるとともに、ヒロインを初めて外国人女性とした・・・物語である。
新たなNHKの朝の連続テレビ小説は『マッサン』。
国産ウイスキーの生産に生涯挑戦し続けた竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)と、その外国人妻のリタがモデルとなる“夫婦の奮闘記”であり、“夫婦の人情喜劇”だという。
今回のドラマは実在の人物をモデルとしているが、フィクションとして再構成されて、脚本家の羽原大介氏のオリジナル作品として制作されるという。そのため竹鶴夫妻に関する書籍は数多く出版されているが、特にこれといった原作はない。
尚、冒頭に掲げた書籍はNHK出版より刊行されている『マッサンとリタ -ジャパニーズ・ウイスキーの誕生』である。
本書は1998年に出版された『リタとウイスキー』の復刊。綿密な取材で竹鶴政孝と妻・リタの生涯をたどる。
本場スコットランドからウイスキーづくりの技術を持ち帰った男、竹鶴政孝。そして、かの地で運命的に彼と出会い共に来日、『マッサン』こと政孝を支え続けた妻リタの伝記小説だ。
日本のウイスキー誕生の秘話とその軌跡を、英国人の著者が日本では入手が困難な英文資料を発掘・紹介しながら、また日英双方での丹念で綿密な取材をもとに描いていく、ウイスキーファン、そして朝ドラファン必携の一冊だ。
さてドラマの話に戻ると、この秋よりNHKの朝ドラでは、国産ウイスキーづくりに賭けた亀山政春とその妻エリーの物語が始まるのだが・・・
熱血漢で不器用で、どこか脇が甘い愛すべき日本男児、それがこのドラマのヒーロー・亀山政春ことマッサンです。マッサンは、決してスーパーマンではなく、不器用にまっすぐに激動の時代を生き抜いた人間味あふれる人物です。
そして、母国スコットランドを離れ、右も左も分からぬ日本でマッサンを支え続けたヒロイン・エリー。奥ゆかしさの中に大胆さを秘めた彼女は、澄んだ瞳で“美しい日本人の心”を見出していきます。“不器用な日本男児”と“気品あふれるスコットランド人妻”という
デコボコ夫婦が織りなす、大いに笑って、大いに泣ける“夫婦の人情喜劇”です。
海外から日本にやってきたヒロインの眼差しを通して、厳しい時代を生き抜いた「日本人の底力」を豊かに描き出します。【NHKオンライン】より
「日本人になろうとしてもなれない、青い目の“日本人”と、頑固なウイスキーバカの、国境を超えた壮大な愛の物語」だそうだ。
ヒロインのエリーは、はるかスコットランドで日本男児と恋に落ち、家族の大反対を押し切って海を渡り、夫の夢を陰に日向に支えながら、懸命に“日本人”になろうとがんばりました。
その夫マッサンこと亀山政春は、まだ世間では誰もウイスキーなど飲んだことない時代に、「やがて日本にも必ずウイスキーの時代が来る」と信じ、本場に負けない国産ウイスキーを造る夢を追い続けました。
「国際結婚」と「国産ウイスキー」、時代を間違え、少し早く生まれ過ぎてしまった感のある二人は、共に一途で不器用。純粋さ故に時にぶつかり合い、慰め励まし合いながら、少しずつ本物の夫婦になっていきます。
【NHKオンライン】より
映画『パッチギ!』で日本アカデミー賞優秀脚本賞、『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した脚本家の羽原大介氏は、二人の七転び八起きの苦難の連続を、関西喜劇のノリで明るく楽しく描いていくともいう。
撮影は5月7日にクランクイン。政孝の生家、広島県竹原市の「竹鶴酒造」周辺でのロケから始まった。
政春役は玉山鉄二(33歳)、エリー役はオーディションで抜擢された米国人女優のシャーロット・ケイト・フォックス(28歳)が演じる。
「竹鶴酒造」のロケでは、政春の父親役の前田吟、妹役の早見あかり、番頭役の高橋元太郎も参加した。
他の出演者は、エリーに辛くあたる政春の母親・早苗役に泉ピン子、政春をスコットランドへ留学させた恩人で大阪の住吉酒造社長に西川きよし、その娘で政春の許嫁に相武紗季、政春の敵役の住吉酒造専務が白井晃、政春の師であり生涯のライバル、船場・鴨井商店の大将に堤真一、エリーの良き相談相手で大阪住吉のご近所さんキャサリン役が濱田マリ、といった布陣だ。尚、主題歌は中島みゆきの「麦の唄」である。
エリー役のシャーロット・ケイト・フォックスは、米国ニューメキシコ州のサンタフェ出身の女優で、身長は167センチ、既に結婚している。女優としてのキャリアは約10年ほどで、米国では舞台を中心に活躍しておりミュージカル『シカゴ』などにも出演した経験がある。
ヒロインのオーディションは国内と平行し、英国を中心に海外でも実施されて、国内から232人、英国、米国などの海外から289人の応募があったという。
フォックスは日本語を解せず、撮影開始までの2か月間、猛特訓を積んできた。また専用に工夫した台本を使い、必死でセリフを覚え込んだという。
そもそも日本語が話せないフォックスが、右も左も分からない異国の地である日本で奮闘するエリーを演じることで、一種の迫真の演技!?が観られるかも知れない。
またフォックスはコメディセンスも高いと評判で、夫婦の人情喜劇を演じるには適役だ、との声も聞こえてくる。
舞台などの出演経験が豊富な彼女は「演技という意味では、英語も日本語も同じ。共演者から刺激をもらい、それを芝居で返していくのが私の仕事です」と話している。
また玉山は「シャーロットをフォローしながら、仲良くやりたい。夢を持つことの大事さや情熱を若い人にも感じてもらえるドラマにできれば」と語ったという。
戦前の時代を背景に、『国際結婚』と『国産ウイスキー』という二つのテーマに挑むドラマ『マッサン』。
NHK朝ドラ史上初の外国人ヒロインがどんな活躍を演じるのか、大変、楽しみである!!
-終-
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