はるか昔、アレクサンダー大王の東征に始まり、プトレマイオス朝エジプトが滅ぶまでの約300年間は「ヘレニズム時代」と呼ばれ、多くの神話が生まれた神々の時代でした。
時代をさらに遡るエジプト初期王朝時代、ギリシャ神話のヘレニズム神とエジプト神話のトート神というふたつの異なる神話が融合し、神秘主義的な古代思想が生まれました。その威光を継ぐ人物として錬金術士のヘルメスが神格化され、ヘルメス・トリスメギストスと称されるようになります。
「トリスメギストス」は3つを合わせたものという意味で、ヘルメス・トリスメギストスは「3倍偉大なヘルメス」と訳されます。後述する「三人の賢者」の伝説がここに生まれたのです。
【ヘルメス主義とは?】
ヘルメス主義とは、ヘルメス・トリスメギストスによる一群の文書(ヘルメス文書)にもとづく哲学的、宗教的思想の総称です。ヘルメス主義は占星術、錬金術、神智学、自然哲学などを含み、神秘学とも呼ばれる概念に近いものです。
「ヘルメスの7つの原理」とは、ヘルメス主義の伝承者たちによって、口秘(口頭伝承によって、選ばれた者だけに伝承されたもの)として伝えられた、ヘルメス哲学の拠り所となる原理です。
これから7つの原理について解釈を試みて行くのですが、その前に、伝説の「エメラルド・タブレット」について触れておきましょう。
【エメラルド・タブレットとは?】
エメラルド・タブレットとはヘルメスの基本思想が刻まれたエメラルドの碑であり、伝説ではギザの大ピラミッドの内部にあったヘルメスの墓から、アブラハムの妻サラあるいはテュアナのアポロニオスが発見したとされています。エジプトに遠征したアレクサンダー大王によって発見されたと言う説もあります。ただしこれらは伝説であって、タブレットの実物は確認されていません。現存するのは、そこに記されていた「人類の叡智」とされる文章と、いくつかの言語への翻訳です。
ザ・シークレットのDVDをご覧になった方は、冒頭の映像の中に、緑色に輝く板を砂に埋める場面があったのを覚えておられるでしょうか。はっきりと説明はされていませんが、エメラルド・タブレットを示唆するシーンです。
【エメラルド・タブレットに刻まれた人類の叡智とは?】
エメラルド・タブレットの翻訳はラテン語版、カルデア語版、中国語版等いくつかのバージョンが存在します。いずれも難解な文章ですが、アイザック・ニュートンの論文の中から見つかり、ケンブリッジ大学に所蔵されている英語版は、比較的取付きやすいのではないかと思います。以下はそれを私なりに日本語訳したものです。できるだけ平易に訳したつもりですが、もともと抽象度の高い文章のため、人により解釈に違いがあることはご容赦下さい。
エメラルド・タブレット アイザック・ニュートン版
(ケンブリッジ大学キングス・カレッジ図書館蔵、瀧本訳)
1. これは偽りなく、確かな真実である。
2. ただひとつの奇跡を行うために、下のものは上のもののごとく、上のものは下のもののごとし。
3. すべてのものは、ひとつの介在によりひとつから生じるように、ひとつの適合によりひとつを起源とする。
4. 太陽がその父、月は母。
5. 風が運び、地が育てる。
6. 全世界の、完全性の父がここにいる。
7. その力(フォースまたはパワー)は完全である。それが地に変換されるなら。
8. 偉大なフォースによって優しく、炎から地を、粗雑さから繊細さを分かちなさい。
9. それは地上より天に昇り、ふたたび地に戻る。そして優れたもの、劣ったものの力を受ける。
10. このようにして、あなたは全世界の栄光を手にする。そして曖昧さはあなたのもとから去るだろう。
11. フォースはすべての力を超える。どんな繊細さも克服し、どんな硬いものも貫く。
12. こうして世界は創造された。
13. それがここにある手段(またはプロセス)の見事な適合である。私が世界の哲学の三つを持つヘルメス・トリスメギストスと呼ばれる所以である。
14. 太陽の営みについて述べることは、以上である。
第2条の「下のものは上のもののごとく、上のものは下のもののごとし」は錬金術の基本原理とされる最も有名な文言で、世界の宗教に影響を与えたと言われています。
第7条の「力」は、原文ではForceとPowerの両方が使われていますが、それ以外はすべてフォースです。フォースは一般的には「力」とか「作用」と訳されることが多いようですが、文脈から原力、理力、心の力の意味を込め「フォース」のままとしました。
ここまで読んでくださったあなたには、心から感謝します。正直、よく解らないですよね? 今はそれで結構です。今後7つの原理の理解が進むにつれ、だんだんと明確になって来ます!
次回、いよいよヘルメス哲学の7つの原理について話を進めます。
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