本来、アラル海は、アムダリア川とシルダリア川という2つの大きな河川が流入することで形成され、他へ(例えば海へと)繋がる川を持ちません。また、この両河川の流域は、大部分が年間降水量が200ミリ以下の乾燥地域となっています。
アラル海の縮小の最大の原因は、旧ソ連が1960年代に、この乾燥地域を大規模な灌漑(かんがい)により、良好な耕作地に変えようと計画し、大量の農業用水を確保するために、この上記両河川の流れを変え運河に流入させたことによります。
しかし、両河川の9割以上の水量を灌漑に使用するという無謀な行為により、当然、2つの川のアラル海へと流入する量は急激に減りました。これにより湖の規模が大きく縮小し始めたとされています。
NASAによると、気象(特に気温の変化)を調整する水量が極端に少なくなったために、この地域では冬期はより厳寒に、夏期はより猛暑になってしまいました。また、肥料や農薬等の化学物質に汚染された湖底の土壌から砂塵が風に巻き上げられ、周辺の農耕地に悪影響を及ぼし、周囲の住民らの健康にも被害が生じているそうです。
【1960年~2000年までの推移】
出典:アラル海縮小の推移(日本カザフ文化経済交流協会)
また、もともと塩湖であったアラル海ですが、水量が激減したことにより塩分濃度は1960年代の6~10倍にもなり、当時、年間5万トンもあった漁獲量は対策中の北アラル海を除くとゼロとなってしまいました。
更に、干上がった湖底には大量の塩分が浮かび上がり、農耕地にはまったく適さない砂漠となっています。まさにアラル海は、過度の灌漑という無計画な環境改良により、砂漠化してしまったといえるのです。
北側に位置する北アラル海は、コカラル堤防の建設により水位の上昇と塩分濃度の軽減など、全般的に環境が回復しつつありますが、南部に位置し三つに分断された南アラル海の救済については、国際的な協調も難しくメドが立っていないのが現状です。
他人事じゃありませんネ。地球規模での環境破壊は確実に進行しています。
各地で砂漠化が深刻な問題となっており、私たちもアラル海の今後を注視していきましょう!!
-終-
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