【OIC/へぇー!そうなんだぁー♪】の第4回。
先日からニュース等で報道されて話題になっている日本バスケットボール協会が2つの国内リーグを統一できない問題ですが、何故なのか? をテレビではあまり詳しく解説してくれません。
そこでその理由について、少々、調べてみました・・・。
バスケットボールのプロリーグ化が検討されだしたのは、サッカー「Jリーグ」の設立に影響された1993年からと云います。
1993年2月15日に(財)日本バスケットボール協会(JABBA/2007年よりJBA、現在は公益財団法人)内にプロ化検討部会ができ、1995年には日本リーグが改組されてバスケットボール日本リーグ機構(JBL)が発足しました。2000年には大和証券を母体とした新潟アルビレックスが初のプロチームとして誕生しており、翌2001年にはリーグもプロ化を睨んでJBLスーパーリーグに名称を変更しています。
2002年には、新潟、さいたま、横浜、千葉の4チームがプロ化推進プロジェクトを発足させますが、翌2003年になってもリーグ運営はアマチュアのままでした。
以後もプロ化への移行はまとまらず、痺れを切らした新潟とさいたまの2チームを中心として、JBLから独立した形で2005年にはプロリーグであるbjリーグ(後にJBAに公認される)が設立されました。
その後、JBAは2007年にはプロ化を踏まえた日本バスケットボールリーグ(JBL、前述のJBLとは別の組織)を設立、2013年にはこのJBLは ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL、現13チーム)に改組されましたが、プロ化されていない企業チームも5チーム(アイシン、三菱電機、日立、トヨタ自動車、東芝)ほど残っており、bjリーグ(現22チーム)との統合は見送られました。
NBLとbjリーグの大きな違いはチーム名の付け方です。NBL(の内5チーム)は実業団の流れを汲んで、トヨタ自動車や東芝などの企業名がチーム名に入っているのに対し、bjリーグは地域密着型の運営を行っているため、チーム名に企業名は入りません。チーム名に企業名を残すか否かが、両リーグが折り合えない大きなポイントといわれています。
以降、2014年4月にはFIBA(国際バスケット連盟)がJBAにトップリーグ統合などを要請し、10月末日までに統合方針をまとめないと制裁を加えるとの圧力をかけてきました。そこで日本バスケットボール協会は2016年には新プロリーグを発足する方針を決め、新リーグ組織委員会を立ち上げましたが、同委員会がチーム名から企業名を外すと決めると企業・実業団チームが猛反対。このままでは調整がつかないとして、先月(10月)23日には協会の深津泰彦会長が引責辞任を表明する事態に陥ったのです。
ではなぜ、企業・実業団チームは名称にこだわるのでしょうか?
NBL関係者によれば、現状ではチーム名から企業名を外すと広告・宣伝効果が半減して、年間3億円以上と云われるチームの運営費を考えると、企業名が消えては支援継続の意義が大幅に不透明となるからだそうです。大金を企業イメージの向上の為の宣伝費用として投じている支援会社側としては、当然の主張なのでしょう。
勿論、チームの名称問題だけが統合を拒む原因ではありません。
自社の宣伝と社員への福利厚生を目的とした旧来型の実業団チームとしては、高度成長期のように潤沢な予算を実業団スポーツに投下できない経営状況の下、現状の体制を維持することでも大変なのに、(単純に)プロ化することによる予算(支出)規模の増加を恐れています。優秀な(プロ)選手をそろえる為には高額のギャランティが必要となり、チームの設備・体制の整備やプロモートの費用もかさみます。
それに引き換え、バスケットボール競技の実態は(例えばサッカーと比べて)競技会場の収容人員(2,000~3,000人中心)も小さい為に動員観客数も少なく、なかなか入場収入の増加は望めません。もともとファン層(観客市場)も薄く小規模なので、これではメディアの注目も得られませんしスポンサーの獲得も困難ですから、チームを維持・運営することには赤字化の危険が高まるばかりです。
この為、多くの実業団チームがプロ化に二の足を踏み、選手はプロとアマチュアが混合した状態で現在に至っているのです。