10月15日から上野の東京国立博物館で開催されていた日本国宝展。あなたはもう、ご覧になっただろうか。学校の教科書などで目にしたことのあるような、仏像や土偶など国宝が一堂に会するこの展示。12月7日でいよいよ終了してしまう。今回はそのレポートをお届けする。
11月23日(日)、13時頃に上野を訪れた。
国宝を集めた展覧会としては14年ぶりの開催だそうだ。 今回の国宝展はテーマの設定がある。それがポスターにもなっている「祈り」だ。
[展覧会の構成]
第1章 仏を信じる
第2章 神を信じる
第3章 文学、記録にみる信仰
第4章 多様化する信仰と美
第5章 仏のすがた
信仰とは何かを伝える作品が多い。テーマがはっきりしているので、国宝のオンパレードというより一連の信仰対象を順にみていくような印象を受けた。 出品は約120点。現在指定されている美術工芸品の国宝が約870件であることから、そのうちの7分の1ほどが集まっていることになる。平成館の大きなエスカレーターで上がり、薄暗い会場に入るとまずは仏足石。薬師寺所蔵の奈良時代のもの。正倉院宝物がはじめのほうに展示されている。美しいのは「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶」や「緑地彩絵箱」などの工芸品。正倉院の宝物と聞くだけで価値の高さが増すような気がする。華やかな螺鈿が美しい。続いて「鳥毛立女屏風」。唐美人を表現する柔らかな線。制作当時に貼り付けてあったという鳥の毛も僅かに残っているとの事。
そして、一際人だかりがするのが有名な、法隆寺の「玉虫厨子」。こんなに大きなものだったのかと思う。四方を彩る絵画は側面の方が状態が良い。じっくりと額を寄せて見られるのがありがたい。そのあとから、第二章の「神を信じる」コーナーは仏像、土偶が続く。北海道から九州まで、普段は見られないような地区からの出展が目立つ。ここで思ったのは、日本の歴史教育だ。土器、土偶、銅鐸。このあたりは日本史の最初のころの授業で、皆いやというほど習う。老若男女、誰もが「土偶だ!」「銅鐸だ!」とささやき合っているのが面白い。文学の信仰では、まずは志賀島の「金印」。ここは数十名はいるだろう、行列が長く続いていた。思ったより小さいというのが、私も会場の人々も抱いた印象。続いて、日本書紀や源氏物語などこちらも有名作品ばかり。このあたりの歴史も作者と時代を暗記したものだ。最後に仏のすがた。平安時代の薬師如来や観音菩薩を間近に拝む。ここでも普段は見ることが難しい、後姿もとくとみられる。仏像の後はこうなっていたのか。最後に目を引くのが、「元興寺極楽坊五重小塔」。高さ5.5mの木造の塔、実際の大きさの10分の1スケールで制作したと考えられている。また東京で展示されたのは今回が初めてだそうだ。柱、梁、屋根の曲線など実に見事。圧倒感がある。過去2回の国宝展では計120万名もの入場者を集めたそうだ。今回も会期後半に向けてさらに混雑してくることが予想される。時間に余裕をもって行ったほうがいい。
筆者も待ち時間110分の看板に恐れをなしたが、裏技ですんなり入った。ヒントは昭和館。通路を探してみてほしい。館内は撮影禁止。目にしっかり焼き付け、最後は館内のショップで限定のフィギュアをゲットしよう。