NBL参加チームでも、別途に運営会社を設立しているところもありますが、興行ビジネスでチームを成り立たせることに対してのノウハウもなく、リスクを考えるとプロ化には消極的にならざるを得ないのが現状の様です。
但し、この市場環境の厳しさはプロ化しているクラブチームでも原則的に一緒ですが、そこには別の違いがあるようです。
それは、企業・実業団チームは競技者目線に立ち、プロチームは観客目線の興行として考える点でしょう。この目線・立場の違いが統合が進まない理由の一つともされています。
競技が所属会社の福利厚生の一環なら、ただ単に試合に勝利すればいいのですが、プロ選手となると観客に技術や個性を魅せて勝たないといけません。アマチュアは観客数で給料は変わりませんがプロは観客数の増減はスポンサー獲得、そして自らの収入に影響するのです。
地域密着型クラブチームのプロ化が必ずしも成功している訳ではありませんが、ブースター(サッカーでいうサポーター)の組織化や獲得に向けたトライアルを真摯に実施して、着実にファンを増やしているチームもあるのです。
更に、両リーグの統合が進まない原因として、賃金体系の違いをはじめとした両リーグの各種レギュレーションの違いもあります。
そして何より、協会や両リーグ、各チームの幹部クラスの人材は、(優秀ではあっても)バスケットボール競技経験者が引退後に就任するケースが多い為、競技者目線で物事を進めがちだということです。
プロとして、興行ビジネスとして成功させるには、観客目線での発想が必要であり、たとえバスケットボール競技の経験が無くとも、スポーツビジネスとしての運営ノウハウを持つプロデューサー感覚の人材の関与を増やしていくことが急務との指摘もある様です。
自ら行うスポーツから観るスポーツに転換していく道筋がないと、統一プロリーグの成功はないと思われます。
ところで、FIBAが何でここまで強圧的か? という疑問はありませんか・・・。
事情通によると、FIBAはバスケットボール競技を、サッカーなどと同様に今年から4年おきのW杯(次回は2019年)スタイルに変更したそうです。今後、そのW杯の予選や2020年の東京オリンピックと続く日本は絶好のマーケットであり、金儲けのビジネスパートナーとして期待していた日本バスケットボール協会のあまりのガバナンスの無さに苛立っている、というのです。
早々にFIBAの代表者が来日し、日本の協会を指導するタスクフォース(特別チーム)を招集して運営を指導するとのことでしたので、妙に親切だなと思っていましたが、所詮は金儲けの為なのでした・・・。
遂に日本代表の国際試合への出場禁止という処分にまで発展した今回の事件ですが、処分が長引けばリオデジャネイロ五輪の予選にも出場できない事態です。この場合、犠牲となるのは選手たちであり、またファンの期待を裏切ることになります。
現状を考えるとサッカー界に比べて20年以上遅れてしまったと言っても過言ではない我国のバスケットボール界ですが、これだけ注目されたことを機会に、JBA等の競技団体では選手の意見やファンの声も取り入れながら、将来のあり方をしっかりと議論して、是非、良い方向へ導いて欲しいものです・・・。
-終-
【続報】
上記の記事の内容の通り、日本における男子バスケットボールのトップリーグは二つのリーグが競合・並立する状態が続いていて、FIBAによりJBAの会員資格が停止されるに至りました。その後、2015年1月、FIBAは両リーグの統合を含むJBAの諸問題を改革する為に、元(サッカー)Jリーグのチェアマンで日本サッカー協会の会長(キャプテン)でもあった川淵三郎氏がチェアマン(代表)を務める『JAPAN 2024 TASKFORCE』を発足させました。
以後、当該TASKFORCEの主導により、両リーグの統合を目的としたジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(JPBL)が2015年4月1日に設立されて、川淵氏がその初代チェアマン(理事長)となりました。この組織の通称は「B.LEAGUE」(Bリーグ)といい、本年(2016年)9月22日より初年度(リーグとして初めてシーズン)が開始されます。尚、現在のチェアマン(理事長)には、(公社)日本バスケットボール協会 専務理事 事務総長の大河正明氏が就任しています。またJPBLの制度や組織についてはこちらを参考としてください。
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