超常現象を紹介するシリーズを始めました。信憑性はほとんどゼロ、「記事」としてではなく「読み物」としてお楽しみください。
初回は小手調べとして、『キングバード50の謎』について。
都市伝説好きの人は、よく知っている話ですよネ。
2001年12月23日の午前0時頃、グリーンランドのトゥーレ空軍基地の管制塔に勤務していた管制官は、一機の正体不明機が猛烈なブリザードをついて基地に接近してくることをレーダーで確認した。
当初、彼は猛烈な吹雪が吹き荒れる悪天候の為に、どこかの航空機が緊急着陸を求めて飛来したと判断していた。そして、その未確認機から『現在位置は貴基地より10海里程度・・・そろそろ基地が見えるはずなんだが・・・見えない様だ。照明で闇を照らしてくれないか? 』との無線連絡が入ったが、その後、無線はよく聞き取れなくなった・・・。
そこで管制官は奇妙なことに気付いた。その無線連絡は現在では使われていない周波数帯で発信されており、また未確認機は通常の航空機にしては速度が遅く、飛行高度も低すぎる事だった。
とにかく基地ではその未確認機の緊急着陸に備えて、直ちに全ての非常灯を照らし、またレーダービーコンの照射も始めて受け入れ体制を整えた。その時点では基地のレーダーがこの未確認機を捉えていたのだが、その直後、未確認機は突如スクリーンから姿を消してしまったのだ。
未確認機は墜落したと予想されたが、最大瞬間風速が50mを越える激しい風雪の為、、二次遭難を考慮して捜索は天候の回復を待って行うことになった。
翌日の夜明けとともに風雪も弱まり、ようやく捜索が開始された。そして数時間後、未確認機は発見された。
トゥーレ空軍基地から直線距離で約12海里の氷河の上に胴体着陸をしていたのだ。
墜落の原因は燃料切れと思われ、機体に大きな破損が無いことから不時着には成功したようだった。搭乗員たちは、トゥーレ基地が近いことを認識していて、機内にとどまって救助隊の到着を待っていたようだが、最低温度マイナス52度を記録するなか、残念ながら全員が凍死してしまった様である。
そして驚くべきことに、なんと未確認機の正体は、既に1955年には全機引退しているはずの米国空軍のボーイングB-50スーパーフォートレス爆撃機だったことが判明した。また、捜索隊の隊員が航行日誌調べると、つい先程までのトゥーレ空軍基地との無線のやり取りや、不時着直後のことまでが記載されていたのだ。
更に調べると、この機のコールサインはキングバード50であり、53年前の1948年12月22日に米国ニュージャージー州のマクガイア空軍基地をここトゥーレ基地を目指して飛び立ったことが判り、墜落までの間に53年の時間を経ていたが、搭乗員の遺体は皆若く老化などしていない。そして彼らの飛行時間は当初の計画より2時間遅れていただけだったのだ。つまりは、53年前の爆撃機が突然時空をワープして現代に現れたということになる・・・。
このキングバード50の搭乗員の遺体は、トゥーレ空軍基地に収容された後、3日後には米国本土に送付されたという。
【参考】 B-50は米国空軍の戦略爆撃機で、B-29の改良型としてボーイング社が開発した。B-29でトラブルが多かったエンジンがプラット・アンド・ホイットニー R-4360に換装された他、垂直尾翼も拡大されている。
1948年から部隊配備が実施されたが、爆撃任務には1955年までしか就いていない。しかしその後は、偵察機タイプや空中給油機型が長く使われ、全機が退役したのは1965年のことである。
完全な捏造タイプの都市伝説として今では有名なお話のひとつですが、なかなか巧く創りますよネ。
ところで、事故原因の解明もされず、そして搭乗員の遺体や収容されたキングバード50の機体はどこに行ったのでしょうか? その行方も杳として知れない、ではすみませんよネ!!
-終-
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