2015年(平成27年)3月14日のダイヤ改正の目玉のひとつが、「上野東京ライン」の完成です。上野駅を起点とする宇都宮線・高崎線・常磐線を東京駅まで乗り入れさせ、さらに東海道線と結び、新橋、品川方面へ直通運転させるものです。そういえば、この区間はかつて繋がっていたはず。そう思って、1966年の時刻表を見てみると・・・。
1本だけ、ありました。高崎線の前橋を5時48分に出て、上野に7時59分着、東京には8時7分に到着し、8時12分発、東海道線を小田原、熱海と経由し、終点の富士には11時34分到着するというダイヤです。折り返しを探してみましたが、前橋行きが存在しません。高崎線まで足を延ばす列車そのものがないのです。富士始発のそれらしき列車を調べると、富士を14時5分に発車し、17時9分東京着というスジの列車がありました。ここで、一旦、東京駅の留置線に待機。そのあと前橋行きとなり、東京発18時8分、上野着18時14分、18時21分発車、終点は高崎で20時15分到着です。その日は前橋まで向かう列車がないので、高崎から前橋は、回送運転で車庫に戻ったのでしょう。使用車両は近郊型の115系であったと思われます。
この区間は東北新幹線敷設工事の用地問題のため、1973年4月限りで定期列車の東京駅乗り入れが中止となりました。帰省時の品川駅始発列車の運行も1975年年末で終了し、わずかに残った荷物・回送・団体列車についても1983年1月31日限りで直通運転が廃止され、線路用地を新幹線に転用するために秋葉原駅 – 神田駅付近で線路が分断されてしまった結果、東北本線系統の列車は東京駅に乗り入れることができなくなりました。残った線路は、上野駅側は御徒町駅付近から貨物駅の使命を終えた秋葉原駅の貨物ホーム付近までを留置線に転用しましたが、秋葉原駅周辺の再開発に伴い貨物ホームは撤去され、新たな留置線が建設されました。東京側は東海道本線の列車の折り返し線に転用されました。
その後の人口増加で、ラッシュ時の混雑が非常に激しくなり埼玉県などが宇都宮・高崎線の中距離電車の東京駅乗り入れについて要望し、2000年の運輸政策審議会答申第18号において「2015年までに開業することが適当である路線」に指定されました。そして2009年度末完成目標とする東京駅 – 秋葉原駅間の東北列車線建設工事計画を2002年3月27日に発表しました。これは旧・東北列車線を撤去して建設した東北新幹線の高架左右に確保されている高々架橋支柱設置スペースを利用して、さらに上層部に新・東北列車線を直上高架で建設する計画です。神田駅付近は圧巻です。
この開通で、山手線や京浜東北線の混雑率が大幅に緩和され、都心をまたいで中距離電車を利用する際の所要時間が短縮されるなどの効果が見込まれ、利便性が大きく向上することが期待されています。上野から東京駅まで途中駅はなく、山手線・京浜東北線にある神田・秋葉原・御徒町の各駅にも駅は設けられていません。
今回の上野東京ラインの開通で、考えられなかった行き先の臨時列車も登場します。たとえば、
急行「ぶらり横浜・鎌倉号」いわき~鎌倉まで、かつて常磐線を走った「特急スーパーひたち」に使われていた651系で運行されます。
雄姿ふたたび。常磐線の上野を抜けて、新幹線の上を走るスマートな車体に注目があつまりそうです。
また、我孫子発伊豆急下田行きの特急「踊り子」号。185系が我孫子から発車するとは。筆者も以前、我孫子に住んでいましたが、まさか185系が、我孫子から走り出す光景なんて想像も出来ませんでした。一時は特急「ひたち」「みちのく」、急行「ときわ」「そうま」など優等列車でにぎわっていた常磐線も、再びにぎわいが出そうな予感がします。沿線も活気づいてくれるといいですね。
新しい可能性をもった上野東京ライン。マニアとしては大いに期待します。最近、東京駅で東海道方面と東北方面の新幹線乗り入れを特集しましたが、在来線がこれで結ばれました。鹿児島発札幌行き、東京駅経由の「超長距離寝台特急」どこかのJRが実現してくれないかな。
《スポンサードリンク》