列車が遅れる理由を説明する風潮になって10年くらいでしょうか。ところが、同じようなフレーズでも、よく見ると微妙に違います。その言葉の意味は何か、わかったように感じていても、その言葉の意味を知らなかった。
知ってみると、「そういうことか!」と明日からあなたも納得すると思います。2回にわたって、列車が遅れる理由を調べてみます。
列車が遅れる理由は大きく分けて、人的な要因のものと、自然の影響の2つがあります。人的なものでまず思い浮かぶのは「人身事故」です。鉄道各社もホームドアの設置を進めたり、あるいは緊急停止ボタンの設置を増やすなど、対策に懸命です。
その次に多く聞かれるのが線路内への立ち入りです。この立ち入りにも、微妙な言い回しがあります。
1)「お客様」が線路内に立ち入った
これは、鉄道会社にとっての「乗客」が線路に立ち入ったことを意味します。駅や改札を通った人です。一番はホームや列車を降りる(落ちる)ケースが多いようです。最近では歩きスマホや、飲酒後に酔っ払って転落するケースが多いようですが、そちらもこの理由に含まれます。
他にも主な例として
・線路に落し物をしたなどにより、それを拾おうとしてホームから線路に飛び降りた。
・電車に飛び込もうとして線路に下りた。
・駅構内で犯罪行為・迷惑行為をした人が逃走のためにホームから線路に下りた。
・第三者行為によりホームから線路に転落した。
・撮影や趣味的な調査のために駅構内の線路脇などに立ち入った。
また、こんなケースもあるようです。
・列車を乗り間違えたなどの理由により走行中の列車を止めて、車外に出た。
・トラブル等々信号待ち等で駅間停車中の列車から車外に出た。(トイレが我慢できないなんていうのもあります)
2)線路内に「人」が立ち入った
こちらは、「お客様」でない人です。駅や改札を通っていないので、踏切から立ち入ることが多いようです。他にも、線路の柵を越えて入ったり、ホームから線路に降りたりとあるようです。
主な例として
・踏切が鳴っても、無理に横断しようとした。
・踏み切りでない場所で無理に横断した。あるいは文字通り立ち入った。
・明らかに電車に飛び込む目的であった。
・撮影その他の目的で線路のすぐ脇に立ち入った。
などがあげられます。
しかし、いずれも「立ち入った」ことがすぐに遅れにつながるわけではありません。鉄道会社の人が「立ち入り」を目撃したり、他の乗客などから目撃証言を得たりすると、安全を確保する為に列車を一時的に停止させ、その人が敷地外に出たことあるいは、その区間に誰もいないことを確認(「安全確認がとれましたので」等のアナウンスが流れますね。)して初めて、列車の運転再開が結果として遅れにつながるわけです。
3)最近なぜかよく聞く・・「異音がしたため」
その言葉通り、運転中に運転士や車掌が床下より衝撃音がしたのを認めたことによります。線路上に異物があり、それを踏んで「異音検知」のために運転見合わせということが代表例です。多くのケースは、線路にある石を踏みつけて(自然に線路の敷石を巻き上げたり、あるいはいたずらで置き石されたりということも。)、異常な音を感知するようです。
車庫を出る前にしっかり点検してくれよ、といいたくなります。これだけ新型車が増えても、なぜかよく耳にします。皮肉なことに、最近の車両はコンピュータ制御、安全の為のセンサが多く搭載されているために、かえってそれが作動して点検が必要になってしまうという事が多いようです。点検と言っても複雑な電子機器ゆえ、乗務員や駅員では手に負えずにメーカーの人を呼んだりと、時間がかかるようです。手入れの悪い車両を点検するのではなく、先端の車両ならではの悩みのタネでもありますね。
何事もなく、定刻どおりに走ってほしい電車。最近、目にすることが多いものから調べてみました。数秒単位で綿密に組まれている日本の鉄道ダイヤ。人が対策を打てば、あるいは気をつければ、無事なことも多いのですが。次回も、引き続きとりあげてみます。