オンキヨーもパイオニアも、年配のオーディオ・ファンには懐かしいブランドだ。実は斯く言う筆者も、学生の頃にこの両社の製品販売員(ヘルパー)のアルバイトをしたことがある。35年も昔のことだが、当時はまだまだハイファイ・オーディオ全盛期だった・・・。
オンキヨーは3月2日に、パイオニアのホームAVやヘッドフォン、電話機事業等の各事業部門の譲渡を受けて、双方の関連子会社を再編成した上で新たに『オンキヨー&パイオニア株式会社』を発足したと発表した。
この新会社は、オンキョーに買収されたパイオニアの100%子会社のパイオニアホームエレクトロニクス(PHE)が社名を変更したもので、「パイオニア」ブランドのホームエレクトロニクス商品と、「オンキヨー」のAV製品全般を取り扱う。新役員も選任され、代表取締役社長には、現オンキヨーの代表取締役副社長でCOOの中野宏氏、そして現PHE代表取締役社長の松本智氏が代表取締役副社長に就任する。
また、日本国内の販売に関する事業は『オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社(現オンキヨーマーケティングジャパン株式会社)』に、設計に関する事業は『オンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社(現デジタル・アコースティック株式会社)』に再編、移管される。
また「パイオニア」のヘッドフォン事業と電話機事業は、「e-onkyo」の運営でハイレゾ音源配信を展開する『オンキヨー&パイオニアイノベーションズ(現オンキヨーエンターテインメントテクノロジー)』に統合する。
更に、オンキヨーがパイオニアグループから獲得した海外事業の中で、北米地域の販売活動に関しては『Pioneer & Onkyo U.S.A.』に移管。欧州地域での販売業務は『Pioneer & Onkyo Europe GmbH』に、アジア地域での販売活動は『Pioneer & Onkyo Marketing Asia Ltd.』へと、その他の海外販売に関する事業は『オンキヨー&パイオニア株式会社』に、3月2日付で譲渡された。
今回の事業統合は、販売部門や設計部門などの共通した組織・機能を集約して、それぞれを一元管理して競争力や収益力の向上を目指して実施された。両社のブランド力や技術力が互い影響力を発揮し、今後はコスト競争力向上と相乗効果の最大化を図るとしている。
オンキョーは、長年、オーディオ業界に浸透している両社のブランドを新社名に反映させ、今後も「オンキヨー」と「パイオニア」というネーミングを継続して展開していく方針である。
尚、パイオニアは、DJ機器事業を担当するPioneer DJの譲渡も完了した。今後はコールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー・エルピー(KKR)が、Pioneer DJの持株会社であるPDJホールディングスの発行済株式の85.05%を取得し、パイオニアは同株式の14.95%を保有する形になる。
今後のパイオニアブランドのDJ関連機器の製造および販売は、『Pioneer DJ株式会社』が引き継ぎ、代表取締役社長には井出良明氏が就任する。
更に、パイオニアBDライターや関連周辺機器及びStellanova関連については、光ディスク関連製品/部品等を手掛けるパイオニアの子会社であるパイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社で業務を継続するとされている。また、ティアックが取り扱うbeyerdynamicやKOSSの取扱については未だ発表されていない。
レーザーディスクで一世を風靡したパイオニアは、誰もが知っている我国の代表的な老舗ホームAVメーカーであったが、昨今では大幅な営業赤字を計上するなど低迷が続いていた。
AV事業の身売り先が国内のオンキョーであったことは不幸中の幸いか・・・。是非、シナジーを発揮して復活を果たして欲しいものだ。
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