マイナンバーはD51 296 第3回〈17/38TFU03〉

シリーズ第3回目、今回はドームからキヤブ(運転台)との間にある機器類についての機能と解説をお届けします。

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画面左の2本の金色が「ボイラー安全弁」

まず、ドームの後ろにある金色の2本の棒のようなもの。これは「安全弁」です。ドーム内で圧縮された蒸気を、うまく逃がしてやるためにこの装置から「シュー」と吹き出す事ができるのです。鍋や釜の蓋にも、沸騰した時に蒸気が抜ける穴がついていると思いますが、あれに相当します。どの蒸気機関車にもついていて、良く目立つ部品なのですが長さの長いもの、短いものがあるので、実物と比較しながら交換しました。同時に、その台座も新たにパーツを追加しています。

その下についている車両から飛び出している部品は「発電機」です。その名の通り、蒸気の力でタービンを回し、発電します。発電した電気は、ヘッドライトや運転台の照明などに使われます。

さらにもう一つ、やや小ぶりの発電機がついていますが、そちらは「ATS発電機」と呼ばれるものです。ATSとは「自動列車停止装置」の略称です。1950年代に起きた電車の衝突事故(三河鳥事件)を受けて、鉄道車両に晋及した安全装置です。これも電気で動く訳ですが、先程の発電機だけでは容量が足りない為に、新たに専用に取り付けられた装置です。これももちろん、蒸気の力でタービンを回し、発電しています。蒸気で電気を起こすというのも不思議な気がしますが、ボイラで発生した蒸気をうまく活用しているのです。ちなみに発電機の周囲のパイピングも実物を何度も見て、配線しています。

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四角い箱が清缶剤タンク、その右の方にある円筒形の物体が給水ポンプ

その下に、四角い箱のようなものがありますが、これは「清缶剤箱」と呼ばれるものです。

蒸気を起こす為に水は欠かせない訳ですが、水の善し悪しで調子が変わります。水垢がたまってしまうと、ボイラを傷めたりすることにつながります。そこで水質を調整するために、このタンクが設けられているのです。
このスタイルも様々で、大きく2つのタイプがあります。これも実機とよく比較をし、交換しました。そして、ここで綺麗にされた水が、給水ポンプによって、前回、説明した給水温め器に運ばれるのです。そして熟水となって、給水バルブを経由してボイラ内に戻されるのです。ちなみに給水管まわりのパイピングは、実物の写真とにらめっこしながらの作業。しかも部品の名称がわからないものもあり、調べながらの作葉で、意外と時間がかかっています。ともあれ、ボディー半分(非公式側)の上半分の作業は完了です。

次回は公式側の解説に進みます。それにしても、細かいパーツとパイプ類をこだわっていくと、その機能の名称や意味もわかり機関車を作った人々の知恵に驚かされます。

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投稿者: ローレル賞

鉄道好き。「**テツ」で分類できないくらいオールマイティに興味が尽きない。他の趣味の歴史とからめて、やや懐古趣味に走る傾向もある。ドラマチックに鉄道を語るのが至福の悦び。