今日の思い出の1枚。東京駅で見た191系直流電気試験車。1979年の撮影。
たった2両の編成で、東京駅の長いホームにチョコンと停車していました。
青い車体に黄色の塗り分け、583系か183系を彷彿とさせる、高運転台のフォルム。白昼のホームに突如あらわれた、謎の電車に他のホームからも視線が集まっていました。
これは特急電車を種車にした改造電車。
2両コンビのうち、クモヤ191はサハ180-5という特急の普通座席車から、クモヤ190はモハシ180-11というビュフェ/座席の合造車からの改造という変わり種でした。
モハシが連結されていた当時は、同じ編成に食堂車も連結されていました。
いつもの1966年の時刻表の列車編成表を見ても、山陽本線の特急「しおじ」には、5号車が食堂車、6号車に「指2食」つまり2等普通車とビュフェの合造車が連結されています。
しかしビュフェの利用が少なく、座席車に改造工事されるケースがほとんどでした。このモハシ180-11も長期休車に指定されていたのです。それが、このように大改造の末に生まれ変わりました。
車内はもちろんシートも厨房も外され、観測機器や測定機が搭載されていましたが、側面の窓配置には十分に面影を残していました。
181系と言えば、山陽で足を鳴らした名門特急車両。当時の仲間が続々と廃車に追い込まれる中、形を変えてこうして第二の活躍の場を持てただけでも幸せなのかもしれません。
この車両は今はもう解体されてしまいましたが(1983年2月廃車)、その後も様々なタイプの事業用車両が生まれ、MUEトレインやドクターイエローのような後継者へと引き継がれ、今もデータを計測し、新車開発の役にたっているのです。