【刑事ドラマ大全 -4】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉

踊る105 51EPFV6CB3L【刑事ドラマ大全】も連載最終回となった。まだまだ紹介したい刑事ドラマは数多くあるのだが、日本人は殊のほか刑事ドラマが好みとみえて、日々、際限なく同様の番組が増殖している。切りがないので、一旦は今回で打ち切らせてもらう。また機会があれば増補編を記事として公開させて頂こう。

 

ところで、筆者には特定の番組に関係なく様々な警察ドラマで気になるシーンがあるので、今回の冒頭ではそれについて触れてみようと思うが、その気になるシーンとは何を隠そう警察官が敬礼を行う場面だ。

そもそも、無帽の状態では挙手・答礼の敬礼は行わない。つまり通常脱帽している室内での敬礼は、頭を下げるお辞儀の形であり、屋外であっても着帽していない私服警官などは室内の敬礼と同様の敬礼を行う。

その要領は、受礼者に向って姿勢を正し、注目した後に体の上部を傾け、頭を正しく上体の方向に保って行う。これは警察礼式(昭和29年8月2日国家公安委員会規則第13号)に定めがある。

ちなみに体を傾ける角度が約15度が「会釈」、約30度は「敬礼」、そして約45度が「最敬礼」とされる。

この敬礼だが、かつては多くの刑事・警察ドラマにおいて無帽の状態で挙手による敬礼が行われていたものだが、ようやく最近のドラマでは私服刑事の挙手による敬礼は減った。少し前までは、嘘か真か若い婦警が左手で敬礼する姿を観て度肝を抜かれたものであるが・・・(笑)。尚、この敬礼の作法は旧日本軍全般にも当てはまるものだ。

 

続いて、刑事ドラマを鑑賞する際に参考にして欲しい「警察あるある」を多少紹介すると・・・。

先ず具体的な捜査活動には、「地取り」、「敷鑑」、「ナシ(なし)割り」などがあるが、以下、それらを順に紹介していくとしよう。尚、(これも何度となく述べたが)現場で捜査を担当するのは警部補以下の刑事たちの仕事であり、捜査一課の係長(警部)や所轄署の刑事課長(警部)以上の幹部は捜査会議の司会進行や具体的な捜査方針を企図・立案して部下の指揮・監督を行うのが役目で、彼らが現場での具体的な捜査活動に継続して従事することはあり得ない。

「地取り」とは、遺体発見現場及び犯行現場周辺の地域をくまなく歩き廻って事件に関連する情報を収集することで、当然、初動捜査でも実施される。また「聞き込み」とは、事件の関係者や重要な目撃者などの特定の人物に対して情報提供を求める為の捜査行為であり、捜査本部の刑事が、現場付近で不審者の目撃情報や被害者の争う声などの事件の手掛かりとなる情報を聞き廻る作業は「地取り」に含まれ、厳密には「聞き込み」とは区別されるようだ。

次に「敷鑑」(「識鑑」またはただ「鑑」とも、もしくは「地取り」に対して「鑑取り」という)だが、所謂(いわゆる)「聞き込み」の事で、被害者の遺族や友人・知人、同僚などに聞き込みを行い、被害者の人間関係を洗い出していく作業のことだ。この「敷鑑」により犯人が特定できる可能性は高い。殺人事件であれば、殺害の動機を持つ関係者を探し出す作業で、殺人の大方は金銭、怨恨、痴情のもつれのいずれかを原因としている為に、これらの動機を持つ人間を洗い出していく捜査活動である。

そしてこの「敷鑑」が、通常の殺人事件では犯人逮捕に結びつく確率が高い捜査作業とされ、基本的には経験豊富な古参刑事たちが優先的に配備される。

最後の「ナシ割り」とは、「証拠品」、つまり凶器や現場の遺留品などを捜査対象として犯人の捜索を行うことである。ちなみに現場の刑事たちは、証拠品のことを「物/ブツ」とか「品/(シナを逆さまにして)ナシ」という表現をすることが多い。

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