日和見感染症を引き起こす代表的な原因菌としては、ニューモシスチス菌やクリプトコックス(「人獣共通感染症」で人間だけでなく犬や猫などに感染し、鳩の糞に多く存在)・カンジダなどの真菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などのブドウ球菌の仲間、緑膿菌やウェルシュ菌・レジオネラ菌・クレブシエラ・ニューモニエ(肺炎桿菌)・セラチア菌といった桿菌類、更にサイトメガロウイルス(CMV、ヘルペスウイルスに属するウイルスの一つだが、成人の80~90%はCMV抗体を有する)やマイコトキシン(黴の毒素で強い発癌性を有している)などと、非常に多種多様な細菌=病原体が存在します。
ところでこの病気(日和見感染症)の基本的な予防策は、健康な状態を維持して免疫力を落とさないこと、可能ならば体力を増強し免疫の働きを強化することが大切ですが、他の疾病の治療中などに発病するケースも多くあって予防や回避が難しいこともあり、そういった場合では直接の原因である細菌=病原体の駆逐や感染経路の遮断などが対処法とされています。
具体的な治療方法としては、抗菌薬を用いて感染している細菌=病原体を押さえ込む処置が主になりますが、免疫不全の状態の患者の場合は「免疫グロブリン」(血清蛋白のグロブリンの一つで5種類に分類されているが、各々が体内に侵入してきた微生物や異物を排除する働きを持っていたり、補体/蛋白を活性化したりアレルギー、寄生虫の駆逐に関与したりしている)という抗体を投与したり、「G-CSF」(免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質であるサイトカインの一種で、顆粒球産出の促進や好中球の機能を高める作用がある)という白血球を増加させる薬を投与するなど、免疫機能自体を向上する対処も必要とされます。しかし免疫不全に陥っている本来の原因を究明・改善しなければ、結果として感染症発症の確率は高いままであり、最終的な治療も極めて困難な状況が続くのです。
更に、日和見感染を起こす細菌=病原体の中には既に薬剤耐性を保有している菌も含まれていて、日和見感染症は抗菌薬が効き難く治療が難しいことがある疾患とされています。つまりその治療に有効な薬剤が限定されることが多くあって、現在、医療現場での大きな課題の一つとなっているのです。
とは云え見方を変えると、重い病気で免疫力が極度に低下している状態において、外部からその免疫力を強力にサポート出来れば、その患者は重症に陥らずにすむという可能性があるとも考えられるのです。
そして更に、死に至るほどの重篤な病気は色々とありますが、意外なことに、現実にはその病気の発病を促した直接の原因菌等の影響により死亡するのではなく、何とその場合の死亡原因の約70%は日和見感染症である、とも言われています。つまり、日和見感染症を防ぐことが出来れば、死亡率は大幅に改善が可能である、ということになるのです・・・。
意外にその存在が知られていない日和見菌ですが、是非とも腸内環境を改善して日和見菌を善玉菌側に取り込んで健康増進を図り、更に万が一の日和見感染症を予防する為にも、日々、免疫力を維持・高めることに努力していきましょう!!
-終-
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