《雑学ものしり帖》 病気などを「手当て」する、という言葉の由来は? 〈1647JKI55〉

病気や怪我などに対処・処置する場合に使われる、「手当て」という言葉について解説する記事。その由来や効能についても触れます。

手のひら334 10210000074病気や怪我などを「手当て」する、という言葉の由来は、一説には古来より受け継がれてきた『手のひら療法(てのひらりょうほう)/手当て療法(てあてりょうほう)』が基(もと)になっている、と考えられています‥‥。

 

 

『手のひら療法/手当て療法』とは、手のひら/掌(てのひら)や指・指先を利用した民間療法のことで、その治療の根拠の一つには手のひらや指が湿気や熱を発散するので、これを患部や病巣に当てたり重ねたりすると軽い温湿布の役目をする為、血行を盛んにして患部や病気を癒すとされるもの(諸説あり)です。

また、手のひらからは体内が保持している静電気が発散していて、東洋医学でいうところの経路(けいらく)を刺激して血液の循環を良くするという説もあります。そしてこれは、体の正の電化・負の電荷が健康に影響を与えるエネルギー療法の一種としての『極性療法(ポラリティセラピー)』である、と説く人々もいます。

 

『手のひら療法/手当て療法』は現代でも、宗教的な儀式・行動として執り行われる場合もあれば何らかの補助・補完医療として、または難病や終末医療における癒しの行為として行われることもある様ですが、それほど大袈裟に考えずとも、私たちも通常の日々の生活の中で、何の気なしに軽い痛みや違和感を感じる体の部位に手のひらを重ねたり添えたりすることはありますよネ・・・。

こうした簡単で素朴な療法を、人々は古(いにしえ)から生活の知恵として知っていたことで、手のひらを当てて病気や怪我を治療することを「手当て」と表現する様になったとされているのです。

 

しかし「手当て」の語源に関しては、上記の説明は俗説に過ぎず、本来は「手当て」という言葉が持つ「処置」という意味合いから、病気や怪我に対して処置を行う事が治療の意味にも用いられる様になったとして、治療法そのものが語源であるとするのは間違いだ、との説があります。

即ち「手当て」とは、前もって準備しておく事や事態に応じて処置をする事を指す言葉であり、そこから転じて病気や怪我の処置をするという意味となったというのです。ちなみに、「手当て」には労働の報酬という意味もあり、危険手当・住宅手当や家族手当などの用語にも用いられます。

 

直接的な言葉の成り立ちとしては後者の説が正しい様に思えますが、『手のひら療法/手当て療法』という治療行為が昔から行われてきたことは事実であり、人々の間に「手当て」という表現が根ざしてきたことには、その種の行為が間違いなく影響を与えただろうとも感じます。

そして、優しく手のひらで触れられると、何故か心まで落ち着くのは私だけではないと思いますが、如何でしょうか・・・。

-終-

 

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