JR東日本は今月(2016年12月)16日、来年3月4日に春のダイヤ改正を行うと発表しました。この中で、JR烏山線(からすやません、栃木県塩谷郡高根沢町の宝積寺駅と栃木県那須烏山市の烏山駅を結ぶ東日本旅客鉄道の区間距離20.4kmの鉄道路線)における運行車両は、全て蓄電池駆動電車『アキュム』(後述)による運転に切り替わることになりました。よって現在、この路線で使用されている関東地区で唯一走行中のディーゼル気動車キハ40系(後述)は、全車が引退することになります。
キハ40系とは・・・
キハ40系気動車とは、昭和52年(1977年)から昭和57年(1982年)にかけて日本国有鉄道(国鉄)が計888両を製造し日本全国の非電化路線に投入した一般形気動車(ディーゼル動力車)のことです。
キハ40系は、老朽化したキハ17系などの旧型を置き換えるために登場した主に普通列車用の車両で、北海道から九州まで全国各地で活躍、国鉄末期の非電化路線を代表する車両となりました。
基本的には、両運転台・片開き扉を車端部に二ヵ所設置した車両であるキハ40型(2代)、都市近郊向けの片運転台・両開き扉を車体中央に寄せて二ヵ所に設けたキハ47型、そして片運転台・片開き扉を二ヵ所に設置したキハ48型に大別され、更に暖地用や寒地用、酷寒地用、またトイレ設備の有無などの区分があります。
この車両は電車に近似した車体構造の大型気動車で、登場時にはそれ以前の気動車と比べて客室設備の改善や走行機器の刷新なども図られました。しかしエンジンは、当初220psのものが1基搭載と非力であり、従来の気動車と比較して動力性能はさほど向上していないとされました。その為、大部分の車両(並びにJR北海道所属の一部)がエンジンを高出力のタイプに交換しています。
デビュー当時、首都圏色と呼ばれる朱一色の塗色でしたが、JRになってからは地域毎にオリジナル色に塗られる様に変更されました。また、最近はもとの朱一色に塗り戻される車両も出てきて、特にJR東海の紀勢本線とこの烏山線(2010年に登場)には、キハ40系としては過去に例がなかった朱とクリーム色のツートンカラー旧国鉄一般色に塗装された車両が走行しています。
現在、烏山線を走るキハ40系は全部で8両で、宇都宮運転所所属のキハ40系1000番台気動車で運行されています。
『アキュム』とは・・・
『アキュム』とはEV-E301系電車のことで、東日本旅客鉄道(JR東日本)の一般型直流用蓄電池駆動電車です。愛称の『アキュム(ACCUM)』とは蓄電池を表す英語「Accumulator」から採られており、また型式のEVは「Energy storage Vehicle」の略となります。
この電車は、屋根上に集電装置(パンタグラフ)を持つVVVFインバータ制御の電車に走行用のリチウムイオン電池を搭載して、架線のない区間でのモーターによる走行を可能にした蓄電池駆動型の電車です。
尚、JR東日本によると、『アキュム』は2014年3月15日のダイヤ改正より、宇都宮線(東北本線)宇都宮~宝積寺間と烏山線で運用を開始した国内初の蓄電池駆動電車で、電化されている宇都宮線の宇都宮~宝積寺駅間を走行中に充電を完了して、非電化区間の烏山線宝積寺~烏山駅の間は蓄電池で走行するという車両です。
客室内装は、E233系電車と同じくユニバーサルデザインの採用とバリアフリーの向上が図られ、室内照明はLED化しており座席はオールロングシートとなっています。烏山線では、宇都宮方面の先頭車がEV-E300、烏山方面の先頭車はEV-E301となっていて、常時この2両編成単位で運行されています。またどちらのタイプも制御電動車で、いずれも後位側の台車に主電動機を2基装備しています。
尚、このタイプの車両は一般の気動車(ディーゼル車両)に比べると、二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に削減出来て騒音や振動も小さく抑えられており、今後の普及が大いに期待されています。直近では、来春に秋田県のJR男鹿線にも導入される予定です。また因みに、2015年5月21日付で「鉄道友の会」の“ローレル賞”を受賞した車両でもあります。
今後、烏山線では来春には『アキュム』を2両4編成に増やして、上下線28本の運行は全てこの新型車両でまかなわれるそうです。更にこれに伴い時刻表が改正されて、宇都宮線に直通する上り電車が1本増えるとされています。
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