【新作アニメ】 旅する主人公の愛車はブラフ・シューペリア 『キノの旅 -the Beautiful World-』 〈44/3JKI15〉

●「ソウ」のモデル『ホンダ・モトコンポ』とは
「エルメス」以外のモトラド(二輪車)として、『キノの旅』には「ソウ」が登場。これは「フォト」(孤児で奴隷だったという不幸な生い立ちを持つが真面目で誠実な性格。自由になってからある国で写真家を営み、感情豊かで快活な性格を取り戻した)という少女の相棒ですが、超小型の折り畳み式モトラドでモデルは『ホンダ・モトコンポ(HONDA MOTOCOMPO)』です。世渡り下手で頼りない「フォト」の為に何かと尽力しますが、ガラが悪くかなりの策謀家で毒舌でもあります。

そしてこのホンダ・モトコンポ ですが、この小型バイクは本田技研工業が販売していた排気量50ccの原動機付自転車のことで、車名の由来は「モーターバイク = モト」とオーディオ用語の「コンポ」(コンポーネントの略語)を合わせた造語で、「持ち運びのできるモト」という意味でした。

2ストロークエンジン 2.5PS/5,000rpmを搭載し、最高速度は45km/h位でした。全長は118.5cm、乾燥重量42kgと小柄で軽量の上、ハンドルとシート、ステップ等は折り畳んで箱形のボディーに収納が出来ました。この為、普通車のトランクルームに横倒しにして車載が可能、キャンプ場やサーキットなどに自動車に載せて移動した後、目的地で自由に行動する事を目的として開発されました。5万台以上が生産されましたが、1985年には生産を終了しています。

『ホンダ・モトコンポ』の画像

 

●戦車の話の『メルカバ Mk 2』とは
原作第9話の「本の国 -Nothing Is Wriiten!-」や第6巻収録の「戦車の話」、そして第9巻の「続・戦車の話」には浮遊戦車が登場。「エルメス」たちと同じく思考し人語を話します。外見のモデルはイスラエルの戦車 『メルカバ (Merkava)Mk 2』とされています。

この戦車は、イスラエルが独自開発した国内生産の主力戦車『メルカバ 』の第2シリーズ(実戦配備は1983年から、Mk 1よりも砲塔などに防御装甲が増加・強化されている)で、乗員の保護や生存性を重視した世界中でも重装甲な戦車の一つとされ、特に地雷や成形炸薬弾に対して高い防御力を有しています。その特徴は、エンジンが前方に配置されていることに加えて操縦席と戦闘室が隔離され、戦闘室床面を砲塔と連動旋回する形態とした結果、車内後部に広いスペースが得られ、乗員の行動の円滑化や自由度、砲弾等の積載能力の向上に繋がりました。

最新のMk 4に至るまで乗員は4人で、Mk 1や Mk 2では主砲に105mm戦車砲を搭載、Mk 3からは120mm滑腔砲を採用しています。他には12.7mmM2重機関銃や7.62mmFN-MAG機関銃、60mm迫撃砲1門などを装備。

『メルカバ』の画像

 

●喋る犬「陸」について
喋る犬は、「キノ」以外の主人公「シズ」の相棒「陸(リク)」のこと。「シズ」も「キノ」同様に旅をする黒髪長身の青年で温和で真面目な性格ですが、腰には日本刀を差し剣術の達人でもあります。彼は、定住する国を探す為に「陸」と共に4輪バギーで旅をしています。一方、「陸」は白い犬で人語を解します。犬ながら常に冷静沈着で微笑(えみ)をたたえた丁寧な口調で話しますが、その観察眼は鋭く観たものに関して割とシビアな考え方を持っています。

 

アニメ旧作シリーズの作画の雰囲気に比べて、今回の新シリーズでは人物や乗物・機械たちもより一層シャープに描かれていて、主人公の「キノ」の(一見、隠してはいるが)女性らしい容姿や「エルメス」のビンテージ・バイクとしての細かな魅力も窺える仕上がりとなっています。

またアニメ版は海外でも人気の作品とみえて、多くの国々のファンから新シリーズを歓迎する声がネット経由で表明されています。物語の主題が決して我国特有のものではなく、それこそグリム兄弟の寓話集の様に万国共通のテーマとして理解され易いからかも知れませんが、この作品が数多くの支持を集める佳作であることには違いがありません!!

-終-

 

『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』PV第1弾

【余談】
アニメを観ての感想というよりはあくまで原作に基づく違和感なのですが、この作品において登場する都市国家の中には異常に科学文明の進歩した国もある反面、中・近世の世界観に基づいた未だ非科学的な国も存在、また比較的民主化された国から古くて封建的な体制の国までが登場し、その存在範囲の広さに多少なりとも疑問を抱かされます(メルヘン/ファンタジーなのだから拘るな、という声も聞こえてきますが)。

そこで、どうしてこの様になったのだろうかという点に関しては、もしかするとこの「キノ」たちの活動する星は、核戦争などの発生で一旦文明が崩壊した後に各々の都市国家が連絡・交流もなく独自に成長した地球の姿であるとか、人類が入植した他の惑星で同様のことが起きた成れの果ての世界なのかも知れないと勝手に想像して納得してみたりもするのですが‥‥それこそ他の読者・視聴者からみると余計な御世話でしょうネ。

 

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