さて、この『Just because!』に関しては、筆者は初回を観た時から典型的なご当地アニメであると思った。しかも自分自身に馴染みの深い地域だと気付いてからは、より意識して画面の背景をチェックする様に心掛けたところ、そこ(登場人物たちの活動域)は、筆者が中学生から高校生まで居住・生活していた神奈川県の湘南/鎌倉~藤沢地区の一部とほぼ重なっている様だった。
但し、やはり微妙な変更点も多く明確ではない表現もあるが、画面をよく観ると現実の風景を忠実に描いたと考えられる部分も多々あり、幾つかの街並みや交通機関などは実写に限りなく近い描写となっている。そこで本記事では、画面上に観た情景の中で筆者が発見・確認した、現実に存在する風景・風物に関して記述していこうと思う‥‥。
この作品に関しては、当初より舞台が「神奈川県」であると明示されており、また主人公が高校3年の3学期だけを通うことになった学校の名前が「柏尾川高等学校」として出てくる。但し現実にはこの学校名の高等学校は存在しないが、柏尾川の方は実在の河川で神奈川県南部を流れる川である。境川の支流で戸部川とも呼ばれており、横浜市戸塚区の柏尾町から藤沢市の川名付近で境川と合流するまでの全長約11kmの二級河川である。
すなわち、放送当初から(もしくは事前においても)神奈川県藤沢市を中心に隣接の鎌倉市や横浜市(戸塚区)付近が物語の舞台かも知れないと思われていた。
そして放送開始後の実際のアニメ画面から判明する具体的な情景としては、湘南モノレールが頻繁に登場、その中でも湘南深沢駅が何度となく描かれていた。また主人公たちが主に利用しているバスは江ノ電バスであり、既述の通り小田急江ノ島線を通学に使用している人もいて、同線の善行駅や藤沢駅改札付近も描かれている。藤沢駅北口ではビックカメラ藤沢店とさいか屋藤沢店や北口2F広場(ペデストリアンデッキ、以前のサンパール広場)と階段が描かれ、銀座通り方面もちらりと映る。南口では小田急百貨店藤沢店の遠景や南口広場廻りの2F回廊と階段などがよく登場している。
更に重要な場所には主人公たちが通う「柏尾川高等学校」が挙げられるが、これは神奈川県立深沢高校がモデルであると考えられている。その劇中での描写と実際の建物の様子などが似ているので、間違いないだろうと思う。通学には、江ノ電バスを利用することになるが、最寄りのバス停は県道32号「藤沢鎌倉線」の八反目(はため)/深沢高校前となる。
尚、当該高校の実物玄関前並びに昇降口付近とアニメ内の柏尾川高等学校の描写はそっくりであり、また校庭や校舎内の様子も酷似している。
こうして次第に解ってきた主要な登場人物たちの居住地区や活動範囲は、基本的には藤沢市の県道32号「藤沢鎌倉線」と同304号「腰越大船線」、もしくは同312号「田谷藤沢線」の沿線で川名交差点・手広交差点・古館橋交差点・深沢交差点・梶原口交番前・常盤口の周囲である可能性が高いと考えられる。
それは藤沢駅から大船駅方面に向けたJR東海道線の南側で柏尾川の南岸に沿った地域や湘南町屋駅から片瀬山駅にかけた湘南モノレールの沿線、そして県道32号「藤沢鎌倉線」沿線の深沢地区だろう。
彼らの利用可能なバス路線について云えば、江ノ電バスの藤沢駅南口から手広経由、大船駅東口交通広場行きや湘南車庫行きもしくは長島行き、同駅南口発の桔梗山行きまたは大仏前経由鎌倉駅東口行きなどが該当する。教養センター循環なども一部には利用可能であろう。
また一部の登場人物には、藤沢駅から小田急江ノ島線を利用して通学している者(森川葉月や乾依子)も見掛けられ、この二人は善行駅周辺に居住(徒歩圏内か? )している模様だ。また他の登場人物(写真部員の一人か? )の持ち物に、小田急線の六会日大前の駅章キーホルダーがあったが、これは利用駅を意味するのだろうか‥‥。
更に具体的な施設・建物としては、回が進むにつれて小田急片瀬江ノ島駅舎、新江ノ島水族館なども登場するが、主人公たちの住居がある付近(深沢地区)で確認出来たのは、(湘南深沢駅傍の)セブンイレブン鎌倉深沢店、徳洲会体操クラブ、横浜トヨペット鎌倉店などがあり、これらは実物に近い形で描写されている。深沢小学校の周囲や(夏目美緒が利用する)深沢小学校前のバス停も幾度か登場した。更に初詣の際に登場する葛原岡神社(主人公たちは、たぶん桔梗山バス停から徒歩)も実際のものによく似ている。「恋みくじ」や瑛太と美緒の階段シーンも実物にそっくりだった。
主人公の泉瑛太の住居は丘の上のマンション形式の建物で、フォルム鎌倉常盤あたりが妥当だろうか。最寄りのバス停は常盤口。但し藤沢駅南口発の桔梗山行きの路線では常盤口方面には向かわず(梶原口から桔梗山へと折れる)、大仏前経由鎌倉駅東口行きに乗る必要がある。また、近くに星乃珈琲店 鎌倉常磐店がある。一方、相馬陽斗の家は団地形式なので、町屋駅周辺だと深沢住宅とか三菱電機の社宅あたりとなろう。ちなみに彼(相馬陽斗)の就職先の候補としては、人工衛星関連の企業とすれば最有力なのが三菱電機株式会社の鎌倉製作所、次いで池上通信機株式会社の湘南工場、戸塚まで捜索範囲を広げると日立製作所関連の企業が多数ある。
尚、登場人物がよく佇んでいるのは柏尾川の岸辺で、川名から手広、古館橋あたり(もう少し北側だと県道が川に隣接していてアニメの描写にそぐわない)までの川縁と思われるが、各々の自宅からは結構距離が離れているが如何なものだろうか。但し、陽斗が待ち合わせの葉月に会う為に、この川沿いへと自転車を漕いで向かうシーンがあるが、汗だくで時間もかかっていたので、意外と納得の設定かも知れない。
それから、小宮恵那は湘南モノレールの片瀬山駅南西のカーブ手前でスクーターに搭乗中のところが描かれており、更に彼女は梶原口交番前を梶原2丁目方面へ進んだところにある愛コープ鎌倉店で主人公の泉瑛太とも出会っているので、作中で最も行動範囲の広いキャラだ。
最後に、柏尾川付近から凡そ南南東に向けての景観で、住宅と工場が立ち並ぶ中を左手(すなわち東方側)遠くに丘を登る形で湘南モノレールが走る様子が時々描かれているのが印象的であり、この場面などは筆者の記憶に残る現地の風景とほぼ一致していると云えよう。
このアニメ、ロケハンが行き届いていて実写と疑うほどに背景等が丹念に描かれており、制作スタッフの聖地に対する想い入れとリアリティの追求度の高さを感じてしまう。また本文中で を付した施設・建造物などは、特に実物にそっくりな姿に描かれていることを指摘させて頂こう。
しかしここまで実際の姿を忠実に再現していると、これって何らかの権利侵害には抵触しないのだろうかと心配になるのだが‥‥。
また個人的に懐かしく思ったのは、藤沢駅南口の名店ビルのテナント書店 有隣堂の懸垂幕が登場人物の背景に映る映像だが、筆者は中高生の頃、現実にこの書店で頻繁に買い物をしたものである。
-終-
【追伸】11月16日(木)の23時30分より『ふらり、Just becasue! の旅』が放送された。まさしく“聖地巡礼 特番”といった様相の番組であり、出演は泉瑛太 役の声優:市川蒼と夏目美緒 役声優の礒部花凜、そして相馬陽斗 役の声優・村田太志である。後半からは森川葉月 役の芳野由奈も加わった。内容は、実際の湘南深沢駅・新江ノ島水族館・葛原岡神社・深沢高校などを訪問して、アニメのエピソードや現実との対比を紹介していくものとなっていた。
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