「空母」を考える(9) 護衛艦『いずも』の改装、軽空母化へ!! 〈3JKI07〉

日本政府は、海上自衛隊の大型ヘリ搭載護衛艦『いずも』を、戦闘機の離着艦が可能となるタイプの飛行甲板に改修する方向で検討に入ったと、複数の政府関係者が明らかにした。

これが実現すると我国自衛隊初の実質上の空母保有となり、搭載機には F-35B戦闘機が最有力視されている

 

護衛艦『いずも』の改修とF-35B戦闘機の導入

現在、海上自衛隊の最大級の護衛艦であるDDH『いずも』は、空母の様に艦首から艦尾まで続く広い“全通甲板”を有しヘリコプターを多数搭載して運用出来ると共に、陸自の普通科など1個大隊(兵員500名以上)とトラック50輌、燃油3,300klなどを輸送可能な艦艇であり、同型艦『かが』と合わせた 2隻が就役中だ。

海上自衛隊公式HPより 護衛艦『いずも』

全長248m、最大幅36m、出力11万2千馬力、最大速力30kt、満載排水量約2万6千tで、ヘリコプターを最大14機(通常運用は9機、内訳は SH-60J/K哨戒ヘリコプター7機と MCH-101輸送ヘリコプター2機)搭載可能とされる。空母化すれば、F-35Bを約10機程度(14機とも)搭載可能となる見通しだ。

また主な改造・改修点は、F-35Bのジェットエンジンが発する高熱に耐えられる様に、鋼材付加や耐熱塗装などにより飛行甲板の耐熱性を上げることが挙げられる。更に戦闘機用の燃料タンクや弾薬庫を増設、整備や航空管制の機能を改修・強化すること等が考えられる。一部には機関砲の設置場所を移転する必要を指摘する声もあるが、2020年代初頭には運用が開始出来るとされている。(素人考えだが、艦首を戦闘機が発艦しやすいスキージャンプ台型に改修するのだろうか? )

またこの件に関連して、F-35B戦闘機の導入を防衛省が本格的に検討していることを今月(12月)25日に共同通信が報じており、これによると防衛省が既に導入を決めた空軍仕様とも云える通常離着陸(CTOL)機である F-35A戦闘機の内、一部をB型に変更する案と別にB型を追加購入する案があり、いずれかを2018年後半に見直す「防衛計画の大綱」に盛り込むことも想定しているという。

現状は、現在の中期防衛力整備計画が終わる来年2018年の3月末までに 28機のF-35Aを導入する計画(今年度までに 22機、来年度予算案にも 6機を購入する為の経費 785億円が計上されている)で、最終的には老朽化した F-14戦闘機の代替機として合計 42機を導入・配備する予定であるので、別途の追加でなければこの中に F-35Bが数機から十数機含まれることになる。

しかもロイター通信(12月1日付)によると、防衛省が来年度に発注する 6機の F-35戦闘機については、米国政府が日本側の値下げ要請に応じていたことが分かったが、この様に日本政府が米国政府と武器の価格交渉をするのは極めて異例のことであるとされる。

日米の複数の関係者によると、防衛省は昨夏から年末にかけて米国防総省と複数回にわたって交渉した結果、当初に米国側から提示された1機当たりの価格 157億円を最終的には146億円までに引き下げることに成功したと云う。更に、整備部品のデータベース構築や技術者受け入れなどの関連経費も、423億円から309億円に減額となったとされる。

これは、防衛省関係者によると我国の防衛装備庁が米国側に細かく情報開示を要求し、各項目を綿密に精査しながら粘り強く米国側と交渉した成果だとされるが、加えて F-35シリーズの機体の量産化が軌道に乗り始めたことや、夏から年末にかけて為替が円高に振れたことも、この価格低減に影響した様である。

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