ヘルメスの7つの原理「照応の原理」(1)/atn

今回より第8章、ヘルメスの第2原理「照応の原理」に入ります。少々難解ですが、世界の宗教に影響を与えたと言われる言葉「下のものは上のもののごとく、上のものは下のもののごとし」について理解できれば、様々な分野で応用可能です。

「下のものは上のもののごとく、上のものは下のもののごとし」

ヘルメスの第2原理は、現象と生命、存在などいくつかの「面」の間に、調和と一致があり「照応している」という真理を表しています。

なぜなら、宇宙に含まれるものはすべて同じ源から発しており、同じ原理、法則、及び特性がそれぞれの単位あるいは単位の組み合わせに適用され、それぞれの「面」にそれぞれの現象が現れるためです。

考察と研究のため、ヘルメス哲学では宇宙を「三大面」として知られる三つの大きな現象に分けられると考えます。

1.物質面(The Great Physical Plane)
2.意識面(The Great Mental Plane)
3.精神面(The Great Spiritual Plane)

※The Greatは「大きな」「大」と訳すこともできますが、ここでは省略します。Planeは飛行機と同じ単語で「次元」「レベル」などの意味もあります。「界」と訳す翻訳者もいますが、私は数学用語に則り、かつ物理的にイメージしやすい「平面」、「面」と訳すことにします。

これらの区分は人が任意に考えたもので、実際は物質を最も低く、精神を最も高度とする生命世界の、大きなスケール上の昇順にすぎません。そしてさらに、各面は互いに重なり合っていて、物質面(の高い事象)と意識面(の低い事象)の間には明確な境界はありません。意識面と精神面も同様です。

一言で言えば、三つの面は生命発現の度合いを示す三大グループと見なすことができます。これらの異なる三つの面について詳細な議論や解説をすることが本書の目的ではありませんが、一般論として述べておくのは良いことでしょう。

※「面」のイメージとして、もしあなたにPCデバイスの知識があればハード・ディスク・ドライブの多層構造を思い出してください。そうでなければ、パイ生地が重なった洋菓子ミルフィーユのイメージでも構いません。単純化しすぎかもしれませんが、ワークショップでは「宇宙はミルフィーユみたいなもの」と考えると、理解していただける方が多いようです。

まず始めに、初歩の段階でよく質問される「○○面」(Plane)という言葉の意味について考えてみましょう。密教関係ではさかんに使われるようですが、あまり説明されていません。

質問はおおむね次のようなものです:面は次元を有する「場所」なのですか?それとも単に「状態や様相」なのですか?

私たちは、次のように答えます。:いいえ、「場所」ではありません。通常の次元や空間ではなく「状態や様相」以上のものです。状態や様相と見なされるかもしれませんが、状態や様相もまた、「次元の度合い」なのです。

矛盾して聞こえるかもしれませんね? 次元、つまり直線上の指標や、度合いに関連することについて、少し調べてみましょう。

通常、空間の次元は長さ、幅、高さで表されます。あるいは長さ、幅、高さの他に厚みや円周が使われるかも知れません。

しかしそれらとは異なる、密教だけでなく科学でもよく知られている「創造物」や「直線上の指標」の次元があります。科学はまだそれに「次元」という言葉を適用していませんが、この新たな次元が「面」の度合いを測る第4の次元です。

第4の次元は「振動の次元」と呼ぶこともできます。それは現代科学だけでなく、ヘルメスの第3原理、すなわち何事も休まず振動しているという「振動の原理」を具現化したヘルメス学者にも、よく知られた事実です。

最も高いものから最も低いものまで、すべてのものが振動しています。それらは異なる速度で振動するだけでなく、異なる方向および異なる状態で振動します。振動速度は、振動のスケールの度合いを測るものであり、言い換えれば「第4の次元」の度合いを構成するものです。

そして、これらの度合いが密教の「面」と呼ぶものを形成しています。振動の程度が高いほど「面」の度合いは高くなり、面上における生命の出現率は高くなります。そのため、「面」は「場所」でも「状態や様相」でもありませんが、両方に共通の性質を持っています。

次回に続きます。

 

 

 

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