目指すぞ全国制覇!日本の鉄道博物館訪問シリーズ 第2回 新津市新津鉄道資料館 〈17/38TFU03〉

線路上から消えたしまった、あるいは消えつつある鉄道車輌に関する博物館を北から南から、訪ね歩くこのシリーズ。第2回は新潟県の新津にある「新津鉄道博物館」を訪ねます。記事の最後には、筆者の勝手な評価ランクもつけてお届けします!(訪問日:2019年6月、写真はすべて筆者撮影)

新津鉄道博物館は、もともと1983年(昭和58)年に、新津駅の南西にあった旧新潟鉄道病院新津分室の空き建物を利用してオープンしました。その後1998年(平成10)に旧鉄道学園の跡地である現在地に移転し、2014年(平成26)に200系新幹線電車先頭車両と、C57形蒸気機関車19号機の2両の実車を屋外展示として迎え、屋内の常設展示も大幅にリニューアルしたのです。

鉄道に興味がない方は、「なぜ新津に?」と思われるかもしれません。新津は鉄道の町です。日本の鉄道の歴史をふりかえってみると、まず首都圏と関西を結ぶ東海道本線は、日本の鉄道の中でも旅客・貨物ともに突出して大きな需要を持つ路線でした。また東北・北海道地方と首都圏・関西圏の需要も大きく、太平洋側を通る東北本線・東海道本線ルートだけでは、膨大な輸送需要をまかなえませんでした。そこで日本海側を通って北海道・東北地方と関西地方を結ぶ、北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線などの路線は日本海縦貫線と総称され、とくに戦後日本の鉄道による旅客・貨物輸送の重要なルートとなりました。中でも新潟・新津は、日本海側の鉄道輸送の要衝として重要な役割を担ってきました。さらに、新津周辺が石油の産出地(!)だった当時、同駅を通る列車は石油を港まで運ぶ手段として活躍したのです。のちに駅は鉄道の要衝地として大きくなり、最盛期の昭和30年代ごろには1日400本の列車が行き来したたそうです。現在は、鉄道の中心地としての役割は新潟駅になってしまい、新幹線も通っていませんが、かつては鉄道の町として大いに栄えた歴史があるのです。

上越のスター的存在の特急「とき」

対して、鉄道愛好家のあいだで、新津は名を知られた地名です。特に1960~70年代の蒸気機関車の引退時期にSLブームがおこった際、新津機関区に多数在籍していたC57やD51を撮影するため、多くの愛好家が新津を訪れたことにあります。この時期の新津は早い時期に電化し、華やかな電車特急「とき」や電車急行「佐渡」が走る姿と、蒸気機関車が1972年まで活躍していた羽越本線、磐越西線が交差する絶好のロケーションでした。

今も新津を中心に走るC57 180号機

さて、それでは新津鉄道記念館を訪れてみましょう。新潟駅からはローカル電車で約20分。田園地帯を抜け、進行方向右手に車両基地が見えてくると、新津です。広い構内は、往時の面影を十分に残しています。駅前の小さなロータリーからはバスやタクシーが待機しており、レンタサイクルもあります。
私はタクシーを利用しましたが、駅前から古い建物の並ぶ商店街を抜け、6,7分ほどで到着しました。鉄道関連の博物館は線路の近くにありますが、ここはゆったりとした阿賀野川の近く、周囲を家に囲まれたようなロケーションです。

入口右手には、屋根の下にC57蒸気機関車と新幹線が並んで展示されています。他では見られないこの並び!期待が高まります。訪問した日は日曜日でしたが、土曜・日曜・祝日は中学生以下無料でした。子供が多く家族と見に来ていました。建物は2階建て。1階ではかつて新潟を走っていた車両の部品やヘッドマーク、SLの部品、サボ、駅名標などのマニア垂涎のお宝がずらりと並んでいます。他の博物館に比べるとかなり身近にみられる気がしました。新津の歴史を辿るコーナーでは、新幹線開業前の新津駅の時刻表もありました。他にも列車のシートやシュミレータ、台車などもおかれていました。子供の人気はここでも、シュミレータでした。

~そして北側の展示車両エリアへ。車両の考察をしてみます。~

200系新幹線(K47編成)

この車両は2013年春まで東北・上越新幹線で使われていたK47編成の1号車にあたります。この編成は、リニューアル工事をへて新しい塗装になっていたものを、2007年(平成19)にオリジナルの塗装へ戻したものです。200系新幹線の最後の走行の際に使用され、引退したのちJR東日本より新潟市に譲渡されました。車内はふだん見ることができません。状態は良好でした。

C57 19

製造は1938年 川崎車輌 、1938年1年 小郡新製配置、以降は1941年下関、1949年門司港、1961年4月秋田、1962年3月 酒田そして1972年9月29日 新津で廃車となりました。九州から東北まで広範囲に活躍したのですね。 標準型で寒地装備の美しいスタイルですが、こちらに来る前に保存展示されていた新潟の鳥屋野児童公園時代、ナンバーが無く、荒廃しているました。その後2012年の春頃に、公園整備の一環でナンバープレートが取り付けられ、運転室への足場が設置されました。2013年6月19日に新津鉄道資料館に移転しました。現在では機関室内にも入れますが、部品が欠損しているところもありますが、順次修復しているようでした。
さらに南側にも、展示車両がありますのでそちらに移動してみます。

クハ481-1508

この電車は北海道初の電車特急「いしかり」用として1974年6月札幌運転区に新製配備されました。その後、1980年9月に青森運転所に転属、東北奥羽方面各特急で活躍しました。1987年~1992年は南秋田運転所、2000年7月青森運転所から上沼垂運転所に転属、485系T18編成6号車として「いなほ」「北越」で活躍しました。「白鳥」「雷鳥」「いなほ」「北越」などの電車特急や、快速「ムーンライトえちご」「くびき野」で用いられました。この車両は国鉄時代の面影をよく残していて、大変貴重な存在です。状態も良好でした。

DD14 332

豪雪地帯の鉄道で活躍した国鉄時代のロータリー式除雪用機関車です。1960年(昭和35)から1979年(昭和54)にかけて43両製造されました。線路の上にある雪を先頭につけたロータリーヘッドでかき寄せて取り込み、線路の外に吹き飛ばします。かき寄せた雪を左右に飛ばす際、沿線の建物や民家に雪をぶつけて破壊しないように、細心の注意を払いながら作業したそうです。こちらも塗装が美しく、現役車両のようでした。

クモハ115-1061

1978年に東急車両で新製され、長岡運転区に配置。1999年長岡運転区→上沼垂運転区に転属。さらに2004年上沼垂運転区→新潟車両センタへ転属し、2017年4月に廃車となりました。 115系電車は国鉄時代に製造された直流区間用の近郊形電車です。寒冷地区・急勾配路線での運用を配慮して設計され、新潟では旧型国電の置き換えのため1976年(昭和51)から配置が開始されました。「新潟色」「弥彦色」と呼ばれる地域独自の配色で塗装された車両が配置されました。緑色と黄緑色のラインの入ったこの保存車両は二代目新潟色にあたります。車体は他の展示車両に比べると少し汚れが目立ちますが、却って現役っぽく見えました。

E444-1(E4系新幹線)

東日本旅客鉄道(JR東日本)の全車2階建て新幹線車両です。それまで走行していた200系新幹線電車の置き換えや増加する旅客需要に対応するため、全車2階建て車両として先行して導入されたE1系とともに「Max - Multi Amenity Express -」の愛称が与えられました。8両編成を2本連結した場合の定員は1600人を超えます。 デビュー時は帯色は黄色でしたが、リニューアル後は「とき色」に変更されました。上越新幹線では2001年(平成13)から営業運転が開始されました。2012年(平成24)からはE4系は東北方面からは姿を消し、上越新幹線の「Maxとき」「Maxたにがわ」でのみ運用されています。しかし2017年(平成29)、JR東日本から2020年度末までに順次引退させる方針が発表されました。さいたま市の鉄道博物館にもMaxは保存されていますが、そちらはE1系。日本ではここだけの保存車両です。

開館時間
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日
火曜日(祝日の場合は開館、翌日休館) 年末年始(12月28日〜1月3日)
観覧料(個人)
一般 300円 高校・大学生 200円 小・中学生 100円
※土曜・日曜・祝日は中学生以下無料です。

【講評】保存車両の数は多くありませんが、SLから新幹線まで、ポイントは押さえていますので子供も大人も楽しめます。新潟にゆかりのある車両を揃えている点も、地元愛が感じられてよいと思います。ドラマチックな履歴をもっているC57と485系は個人的には、特にお気に入りです。
遠く山を望む立派な屋根のかかった屋外の展示場内もゆったりとしており、のびのびと見学できます。
観覧料も安いですし、敷地内も広すぎないところがいいです。
車両の保存状態もよく、年に数回車内も公開されるので、大切に保存されていることがよくわかります。鉄道OBの方々も元気に来場者の対応をされている姿も、いい光景でした。
土地にまだ余裕がありそうですので、贅沢をいえば新潟を走ったことのある車両をもう少し保存してもらえないかと思いました。

【勝手に採点】  ※ 満点は☆が5つ
行きやすさ                 ☆☆
車両の見やすさ               ☆☆☆
保存状態                  ☆☆☆☆
貴重な車両の多さ              ☆☆☆
鉄道知らない人でも楽しめる度        ☆☆☆
また行ってみたい度             ☆☆☆

 

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