日本の鉄道博物館訪問シリーズ 第14回  東急「バスと電車の博物館」〈17/38TFU03〉

鉄道博物館は私鉄にもあります。その中で、今回は川崎市宮前区にある東急の「バスと電車の博物館」をとりあげます。東急といえば、ステンレスの名車がズラリあるはず。今も地方私鉄で活躍する車両もあり、博物館を構えるにふさわしい鉄道会社と思います。さあ、博物館にはどんな車両が保存展示されているのか。訪れてみました。(写真はすべて筆者撮影。訪問は2018年5月)

博物館の場所は、東急田園都市線宮崎台駅に直結しています。改札を出て南口側に行くと、すぐに、電車とバスの博物館の入り口が見えてきます。館内は非常に明るく、デザインも親しみやすい軽快なイメージです。改札口のような入り口を入ると、鉄道模型がお出迎え。館内はシミュレータワールド、キッズワールド、パノラマワールド、そしてゾーン3450という4つのエリアに分かれています。

まず入場してすぐにあるのが、東急ヒストリーというコーナー。東急電鉄の歴史がパネルや映像で紹介されてます。パノラマシアターでは、HOゲージのレイアウトが!フュージョンバンドのカシオペアでキーボード奏者だった、向谷実氏のオリジナル楽曲にあわせジオラマを走るそうです。他にも鉄道グッズを売る売店や、Nゲージのレイアウトもあり、年齢層も小さなお子さんが多いようでした。その先には、昔の高津駅を再現されたエリア。中には、懐かしい昭和の駅務室の中も見られます。ミニライブラリーでは、なんと木造車の中で様々な鉄道書籍が読めます。さらに鉄道模型のレイアウト、ここは自分で運転できるようになっていました。
ゾーン3450はデハ3450形のデハ3456電車のカットボディがドーンと置かれています。客室ドア1枚分の小さなカットボディで、さらに目の前に台車があり、なんとなく肩身が狭そうです。運転台ではマスコンハンドルやブレーキハンドルによる台車の操作、ドア開閉スイッチによる客用ドア開閉、パンタグラフの上下操作などができます。さらにドア開閉装置を使ったドア開閉もできるので、電車ごっこをたのしむ子供たちが列をなしていました。モータ音は、吊りかけの懐かしい音がします。

1階はシミュレータワールド。ここでの一番の人気は、クハ8090のレプリカを使った運転シミュレータです。実車はすでに全編成が東急の線上から引退していて、秩父鉄道に譲渡されています。しかしやはりステンレスに赤帯の東急らしい電車は大人気でした。他にもCGのシミュレータや、東急バス(路線バスタイプの日野RB10、東急コーチの三菱ふそうB623B)の展示もありますが、オールドファンなら目が行くのが「ペコちゃん」の愛称で親しまれた玉電のデハ200型の保存車両です。

デハ204

1955年の製造。そんなに古い車両とは思えません。低床の車体、下膨れしたユニークな車体デザイン、そして連接車両などのユニークな特徴の塊です。休憩室として開放されています。国道246号線を渋谷から二子玉川まで走っていました。1969年の廃車後は多摩川園で保存されていましたが、同遊園地の閉園に伴い高津駅の高架下改札前に移設され、その後現在の地に来ました。

こちらの建物は以上です。「キッズワールド」のある建物は、一旦外に出たB館にあります。B館でまず目に飛び込んでくるのが、懐かしいダークグリーンの電車です。

デハ3450

1931年から1936年にかけて製造された車両です。1989年に復元された車両です。以前は、車内非公開でしたが、移転後車内も公開されるようになりました。前面の運転台の上の大きな庇が特徴的です。木目の鮮やかな車内。意匠を凝らした金具など、車内もいい雰囲気です。

その先には、なんと飛行機のコクピットが。YS-11型のものですが、なぜ電車とバスの博物館に飛行機が?と思いますが東京急行電鉄が日本エアシステム(現・日本航空)の親会社であったことであるからだそうです。懐かしい東亜国内航空時代の白地に赤と緑の塗装が再現されています。(この飛行機、実は1988年1月に米子空港にてオーバーラン事故を起こし登録を抹消された機体です。)キッズワールドにはプラレールコーナーなどもあって、ますます子供の姿が多く、親子連れでにぎわっていました。

【講評】東急の運営する乗り物の博物館ですから、どれだけ沢山の車輛があるのか、期待していきましたが、ちょっと残念です。青ガエルの5000系もなければ、ダイヤモンドカットと呼ばれた7200系電車もなく、鉄道ファンには寂しい限りです。スペースの関係上、これ以上は保存できないかもしれませんが、東急の名車が一堂に会する博物館がどこかにあってもよいのでは。私鉄ローカルでも、往年の東急車両が老朽化していますので、解体されてしまう前に、なんとかならないでしょうか。

【勝手に採点】  ※ 満点は☆が5つ
行きやすさ                 ☆☆☆☆☆
車両の見やすさ               ☆☆☆
保存状態                  ☆☆☆
貴重な車両の多さ              ☆☆☆
鉄道知らない人でも楽しめる度        ☆☆
また行ってみたい度             ☆☆

【開館時間】

開館時間:10:00~16:30
入館料: 大人 200円 三才~中学生 100円
休館日:毎週木曜日(年末年始 12/29~1/3)

 

※おまけ※

YS-11のコクピット内。これはこれで貴重ですね。

 

 

《スポンサードリンク》