1957年創刊の雑誌。本来の雑誌名はGentlemen’s Quarterlyの略で、「男性向け季刊誌」を意味するが、現在は(1980年~)月刊誌である。メンズ・ファッション中心の男性総合情報誌として、世界的に、質(クオリティ)において最高峰のひとつといって差し支えないだろう。尚、日本版は『GQ JAPAN』として1993年に創刊。
1957年に米国で創刊、エスクワイア社から年間8回の刊行であった。当時の発行人はバーナード・ミラー、編集長はO.E.ショフラーである。その後、いくつかの出版社を経て、現在はコンデナスト・パブリケーションズの傘下となり、世界19ケ国で発行されている。
また本来は富裕層男性向けのファッション雑誌としてスタートしたが、比較的当初からファッション情報だけでなく幅広いテーマを取り扱いメンズ向けの総合情報誌化していた。現在の『GQ』は、「クオリティー・ライフスタイル男性情報誌」と謳っている。
もともとファッション誌らしい、素晴らしくアートな誌面が今でも目を引く。 ビュジュアル(写真やイラスト)の質は極めて高い。また多くの広告ページが美的観点から観るに値することは、これもファッション誌としての成り立ちに因るのだろう。質の高い一流ブランドの広告ページには、いつの時代も注目が集まるものだ。
従来は、欧米でも格調高い男性ファッション誌として評価されていたが、近年、従来の格式は保ちつつよりポップな誌面に脱極し、各種のトレンド、流行のスポットの紹介、音楽や映画情報などを読者に届ける部分に比重を置いていた様子だが、最近は再び最新ファッション情報のウエイトが増加している様にみえる。(各国版により編集方針も異なる)
主な内容は、ファッション情報に関して、洗練されたモードなスタイルやお洒落で上質なアイテムを紹介することはもちろん、特別記事としてセレブ(作家・政治家・映画俳優・ミュージシャン・アスリートtec.)のインタビューも読みどころのひとつだ。
各種の連載コラムも充実しており、グルメ・芸能情報からちょっとしたファッションの薀蓄ネタまで、また文化批評欄の色々な興行・イベントのレビューや書評などに定評がある。更にエッセーや連載の小説が掲載されることもある。つまりは、あらゆる読者のニーズに対応するために、すべてが網羅されているといえよう。
米国版を中心に、『GQ 』の読者層は概ね30代~40代のビジネスマンが多いと思われる。富裕層の中でも常に新しく、スタイリッシュなものを追及している男性諸氏が主な購買層なのだ。
そこで『GQ 』は、知性や品性を備え、本質にこだわる男性陣のこだわりに答えるため、スタイリッシュでダンディな仕上がりを目指してきた。
その結果、長年、世界各国で『GQ』はメンズ・ファッション誌としては最もメジャーで、断然ナンバー1の地位を獲得してきた、といえよう。
表題の「スタイルのある生活」とは、『GQ』の1982年10月創刊25周年記念号で、当時の編集長ジャック・ハーパーが書いたコピーである。彼曰く「『GQ』はスタイルのある生活へのガイドとして続いていく」そうだ・・・。
日本版は1993年2月6日、中央公論社(現中央公論新社)により創刊。しかしその後廃刊となり、2003年4月よりコンデナスト・ジャパンが『GQ JAPAN』を発行・発売しているが、その(再)創刊号では藤原紀香の大胆なショットが話題を呼んだ。
現在の『GQ JAPAN』は、20代の若手ビジネスマンを対象に設定し、世界的な有名ファッションブランドの新作紹介や高級腕時計などのファッション関連記事、政治・経済などのジャーナリズム、芸能、IT、ビジネスノウハウや自動車からグルメ関連といったカルチャー全般のテーマを幅広く取り上げているようだ。
尚、米国版の発行部数は93万部。日本版の発行部数は公称65,000部である。
現在、世界的に成功している媒体の代表であることは間違いない『GQ』。しかし正直なところ、その「メンズ・ファッション中心の男性総合情報誌」という方向性は、現代のネット社会にはミス・マッチとなりつつあろう。何でもありの総合情報誌という手法には限界があり、リアルの雑誌という媒体にも限界がどんどん近づいてきているのだから。
生き残る道のひとつは、本来の優位性であるアートなビジュアルを活かしたコンテンツだろうし、ファッション特化もまたその可能性を高めるのではなかろうか・・・。
-終-
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