魔方陣(Magic square)とは、正方形の方陣の中に数字を配置し、縦・横・斜めのいずれの列の和も同じ数値となるもののことです。
因みに、『魔法陣』とは別のものですが『魔方陣』にも神秘的な力があるとされ、古くから呪術・占術などで用いられてきました・・・。
1×1は別として2×2が存在しないので、魔方陣で最も簡単(最小)なものは、上の図のような縦3マス、横3マス(3×3)のものです。そして、上図の魔方陣は、縦・横・斜めのいずれの列の和も15となります。このような3×3の魔方陣の場合は、(対称形を除くと)このパターンしか存在しないのです。
この形は魔方陣の起源といってもよく、非常に歴史は古くて、中国最古の王朝である夏の始祖、禹(う)が洛水の治水工事をした時に川の中から出てきた大きな甕に刻まれていた文様であると伝えられ、これが後に『(河図)洛書』と呼ばれ、長年、九星占術(風水や気学など)で用いられてきました。
他の対称形に、西洋数秘術の『サトゥルヌス魔方陣(土星方陣)』などがあります。因みに、「サトゥルヌス(Sāturnus)」は、ローマ神話に登場する農耕神のことです。英語では「サターン」といわれます。ギリシア神話の「クロノス」と同一視され、土星の守護神でもあります。
この様に洋の東西を問わず、古代より様々な呪術・占術などで「数というものの神秘的な関係性」を表すものとして魔方陣は用いられてきました。
4×4の魔方陣も歴史が古く、有名なものではドイツの画家アルプレヒト・デューラー(1471~1528)が1514年に制作した銅版画『メランコリア』の中に、魔方陣を描いています。尚、魔方陣の最下段の中央の2つの数をつなげれば、ちょうど制作年となるような細工も施されています。
さて、これらと同様により方陣の大きな5×5の魔方陣、6×6の魔方陣、・・・n×nの魔方陣があります。
また魔方陣の縦、横、斜めの数の合計値を定和といい、nが決まれば定和も決まります。3×3では15,4×4では34、5×5では65…となります。
更に魔方陣のn毎の数(存在するパターン)は、3×3が1、4×4は880、5×5では275,305,224となります。
ここまでは確かな個数ですが、これ以上はまだスーパーコンピューターを使用して理論的に推測した数値となり、6×6で約1,700~1,800京(コンピューターでも現在ではまだ厳密には数えきれない)とされています。
魔方陣には完全魔方陣というものがあって、行、列、2つの対角線だけでなく、すべての汎対角線の和が等しくなる魔方陣です。汎対角線とは斜めにたどっていき、左右の端に来たら反対側に続くラインです。これは魔方陣の右端と左端がつながっていると考えたときの斜め線となります。そして、同様に上の行と下の行もつながっていると考えられます。
7 | 12 | 1 | 14 |
2 | 13 | 8 | 11 |
16 | 3 | 10 | 5 |
9 | 6 | 15 | 4 |
4×4魔方陣の最も古い例が左図で、インド中部のカジュラーホで発見されたもので11~12世紀の彫刻の中に刻まれていました。そして完全魔方陣でもあります。 定和は当然34ですが、四隅の数の合計、任意の2×2の正方形の数値の合計、任意 の3×3正方形の四隅の合計、二つの数が隣り合う上段と下段、または右列と左列 の四つの数の合計など、いずれも34となります。
汎対角線上の和が等しいということは、行や列をローテーションしても魔方陣になっているということです。ですから、n次の完全魔方陣1個からn2個のパターンの魔方陣が作れることになります。
しかし、なんど計算してみても、やっぱり不思議ですネ。昔の人々はさぞ驚いたことでしょう。そう言えば、日本が世界に誇る和算でも、お遊びとして魔方陣を度々取り上げています。
最近では、コンピューター(のプログラム)を利用して、オリジナル魔方陣を創る(実際には探し出す)遊びが流行している様ですが、あなたもチャレンジしてみてはいかがですか・・・。
-終-
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