大井川鐵道本線の利用客数は昭和42年度の345万人をピークに、昨年度は57万5千人まで落ち込んでいる。経営状況は厳しく、今春のダイヤ改正では運行本数をほぼ半減させる事態となった。
SL運行や全国の珍しい鉄道車両の保有などで、鉄道ファンには永らく支持されてきた大井川鐵道だが、この「トーマス」人気で、小さな子供たちから若いお母さんやお父さんたちなどの一般の観光客に知名度が上がることは喜ばしい限りだ。鉄道会社側も「見込みの倍近い人気」に嬉しい悲鳴だが、単発的なブームで終わることなくより永続的に、SLの走るローカル鉄道の魅力を多くの人々に知ってもらいたいものだ。
『きかんしゃトーマス/きかんしゃトーマスとなかまたち (Thomas and Friends)』は、イギリスの幼児向けテレビ番組で、制作には鉄道模型を使用した人形劇やCGアニメーションを活用したりしている。尚、原作はウィルバート・オードリーの絵本『汽車のえほん』シリーズであるが、オードリーが大の鉄道ファンであったため、本格的な鉄道用語が多く使われ、稀にストーリーの展開も児童向けには相応しくないほど専門的なところがある。
舞台はイギリスの(架空の)ソドーという島で、青い機関車のトーマスと仲間の機関車や鉄道車両たちが活躍する物語だ。機関車などが擬人化されており、顔や表情、感情や意思を持った機関車や車両たちが、まるで人間と同じく働きながら生活をしている姿を描いたアニメである。
日本でも1990年より放送が開始され、早や20年を超える長寿シリーズに成長した。男児向けキャラクター商品の定番として定着しており、ビデオやDVD化されたテレビ番組をはじめとして、絵本や玩具や日用品、衣料など、『きかんしゃトーマス』の関連キャラクター商品の売上は非常に大きい。
C11 227号機は、大井川鐵道が動態保存する蒸気機関車で、1942年(昭和17年)9月に日本車輌製造で製造されたC11形蒸気機関車の1両である。
1942年9月18日落成、製造番号1108。国鉄時代最末期には標津線で使用されていたが、昭和50年11月、北海道標津線より大井川鐵道に入線し1976年(昭和51年)7月9日にSL急行の運転開始とともに復活運転を開始した。
過去に数回、イベントで「それいけ!アンパンマン」のキャラクター「SLマン」を模した姿に改装されたことがある。
尚、C-11形は当初、C-10形の後継機種として軽量化を図り、支線区や都市近郊区間の折り返し運転による快速列車運用を念頭に計画されたが、実際にはあらゆる場面で使用された(戦後を含めて381両が作られた)万能機であり、名作といわれる小型タンク式蒸気機関車である。
『ヒロ』も物語での設定では「昔、日本からソドー島にやってきて忘れられていた機関車」だそうだが、姿形が似ているコンソリの9600形(千頭駅構内に保存の49616号機)でいいだろう(笑)。
【続報】大井川鐵道が2015年6~10月に『きかんしゃトーマス』を模した蒸気機関車牽引の特別列車を運行することを発表した。運行スケジュールは6月7日~10月12日の週末や夏休みを中心にした計74日間である。(2015年1月11日)
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英国の幼児向けテレビ番組『きかんしゃトーマス』の主人公「トーマス」を模した蒸気機関車(SL)が牽引する特別列車の運行が7月12日に始まって以来、静岡県島田市の大井川鐵道は「トーマス」人気で大盛況だ。
和製リアル「トーマス」に会いたいと、全国各地から子供連れのファミリーや大人の鉄ちゃんなども加えた多数の人々が大井川鐵道に殺到して、鉄道会社側も驚くほどの大きな集客効果を発揮している。
この「トーマス」に扮したのは、大井川鐵道が保有するC-11形227号機だ。車体の色を明るい青色に塗り替えてヘッドライトの位置なども移動した。煙室扉の前面には、目玉がぐりぐりと動く「トーマス」の顔面を取り付けた。また、牽引される客車(旧客)たちもアニメの姿と同じくオレンジ色としている。
7月12日に運行を開始して、10月12日までの主に週末の50日間にわたり、大井川本線の新金谷駅~千頭(せんず)駅間の約37kmを1日1往復するが、なんと予約はすべて満席の状態だそうだ。
また終点の千頭駅では、「トーマス」作品に登場する日本の機関車「ヒロ」とトーマスが並ぶ姿が再現されている。大井川鐵道の静態保存機9600形の49616号機を、「ヒロ」に合わせてを改造したものだ。この辺が子供たちだけでなく本格的な鉄道マニアにも好評で、鉄ちゃんの訪問や鉄道雑誌等からの取材も多いという。